見出し画像

坂本沙季⑨ちぐはぐな部分がある分だけ、指先に色をのせたい

もう何ヶ月も付け続けていたマニキュアを落とした。久しぶりに見た自分の素の爪を見て、これも悪くないかも と思った。

周りの目を気にする50%くらい。
主張ができない。安易にツイートできない。着たい服を着れない。言いたいことを飲み込む。自分の顔が映し出されるものが少し怖い。人のせいにしてしまう。一人で何かを食べるのを見られたくない。踊りきれない。

周りの目を気にしない30%くらい。
好きな色の爪にする。自分の好きな化粧をする。黒い服しか着ない。アクセサリーをつけたいものをつけたい分だけつける。誤魔化しをする。内向的な文を書くこと。髪を急に切る。

人の中にはつじつまの合わないちぐはぐな部分がある。

てきとーなところと真面目なところ。
幸せなのに、不幸せなところ。
大好きなのに、少し嫌いなところ。

こういうものが混ざったところが残りの20%ある。人の目を気にしているのかしていないのかわからない部分。

そういうものが一番上に立ったときに、戸惑いを覚える。何がしたいのか、何を求めるのかを決められない。

そういう状況に立たされたときの対処の仕方を覚えている人を身近に見ると尊敬をする。惚れ惚れとしたりする。とてつもなく、かっこよく見えたりする。

まだ、どうするべきかわからずになにもしないことを選んだり、本を読んだり、戸惑いを対処できずに人に迷惑をかけてしまう。


人を生かし、生かされている中で、自分ではない人という存在に怯えすぎている。SNSはいつも監視されているよう。返信がなければ、心配してくれる人がいる。

コロナになって、それは一層強くなった。

「〇〇がコロナになった」

日常に死を感じる場面が増え、善意のままに心配をする。これを善意と見ている時点でそれが善意なのかと疑う。でも、本当に心配してるんだよ。不謹慎なものに怒りすら覚える。

「最近、〇〇から返信がないけど、どうしてるか知ってる?」

閉塞感をいつも感じている。マスクをして、表情は読みとりにくい。外へ出る用事がないなら、出てはいけない。綴ることも、映えることもない。自分ことをどれだけ考えても、せいぜい自分からみた自分に過ぎないんだよ。

自己と他者が交わるところもちぐはぐだ。

共感をしている? 8割共感=共感
となるのか。その見ていない2割のちぐはぐに目を向けたとき、言語化できない部分があったりして、在るのに無いような感じがする。

そういうところの対処を知りたい。

今はいろんなことをしていろんな探りをする。一生これは一つに纏まらなくて、そういう人になるのかもしれない。

家を出る頻度が減って、外見の装うことを減らした分に内面の装いに時間をかけなければならないのか。まだ探っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?