【エッセイ】クリスマスは
イベントは好きじゃない。
誕生日もクリスマスも淡々と過ごすし、ひとりでいるのが気楽だ。
ケーキや好きな食べ物は食べたいときに買って食べるから、イベントのときにわざわざ用意する必要はない。誕生日やクリスマスにそれが食べたいとも限らない。
すっかり冷めた日常に慣れてしまったが、ひとつだけクリスマスに憧れがある。
「クリスマスは」
と問われたら、答えなければならない言葉がある。
アランが問う。
エドガーが答える。
容姿、生き方、関係性。そのすべてに憧れている。
彼らが背負う運命や、クリスマスの過ごし方を問うような暮らしぶりにも。
いつかエドガーが迎えにきたら、怖れずにバンパネラの世界に足を踏み入れようと思っていた。そのチャンスは未だに訪れないが、希望は捨てていない。
この先少しずつ老いていくことを考えると、時間が止まるなら少しでも早いほうがありがたい。
ただ、念願のバンパネラになれたところで、不注意ですぐに灰になってしまうだろう。なるほど、どうりでエドガーが来てくれないわけだ。
結局のところ、クリスマスを楽しみたいわけでも、ロンドンに行きたいわけでもなく、ただこの言葉が好きなのだ。
「クリスマスは」
「ロンドンで」
いいなと思ったら応援しよう!
より素敵な文章となるよう、これからも長く書いていきたいです。ぜひサポートをお願いいたします。