学校現場での 学力 VS. 安全

 いよいよ6月から全国各地で本格的に登校が始まっていきます。各教育委員会や学校は児童生徒の学力のことを心配していて、なるべく早くに学校再開を試みようと様々な案を持って取り組んでいます。

 市町村によっては5月の中旬ほどから分散登校という形で児童生徒を登校させ、授業を行っているところもあるみたいですね。

 自分は、学校で身につけることができる学力と真の意味での学力って違うと思っています。「勉強はできないけど、あの人って頭いいよね」「考え方が面白い」「頭の回転が速いね」と言われるような人は真の意味で学力があるのではないでしょうか?学力学力と追われている印象が今の学校現場にはあります。


 もう一つ学校現場で今騒がれているのは、安全です。教室や廊下、扉など人が触れる場所全て必ず除菌をするような活動を教員がしています。毎日です。

 どの程度換気をするのか、体温のチェック、マスクの着用義務など、通常業務上の安全配慮に加え多くの取り組みが追加されました。こんなにも安全に気をつけている理由には集団感染を防ぐためということは皆さんご存知の通りです。

 この対策がいいか悪いかわからない人が多いですが、とりあえずなにか策はうったという形式上のものもたくさんあります。それだけ、児童生徒の安全を確保したいということです。


学校現場での 学力 VS. 安全 

 学校に登校させてくることは集団感染のリスクは高くなるけれど、学力は差が開いていってしまうから、なんとかして学校を再開させ学力を担保しようというのが現状です。現状、学力と安全では、学力の方をとっているということになります。それほどまでに学力にこだわる理由はなんなのでしょうか?

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 中教審がこのように言っているのにもかかわらず、無理やり推し進めている感じが否めないです。そもそも、何のためにそんなに急いでいるのかと考えたとき、標準授業時数というものが1つ関わってきていると感じました。

 標準授業時数は学力の水準を担保するためにこの時間数は必ずその教科の指導をしなさいというものです。これがないと好きな教科だけやることになってしまい、全国的な学力の水準を保つことができないからこの基準は大切になってきます。しかし、この標準授業時数はあくまで学力の水準を保つための手段であって目的にはなってはいけません。

 しかし、教育委員会から言われ、休校期間を考慮した各教科の年間カリキュラムを作成した際には、「標準授業時数をなんとか確保するようにしなければならない」と言っていました。その結果生まれたのが、夏休みの大幅短縮です。

 東京都ではこのような発表がありました。


 大阪市ではこのような発表がありました。


 教員にとっての夏休みは休みではなく、本来授業があるときにはできない業務が山ほどあります。教育基本法で研究と修養の義務もあり、免許更新制度もあるため様々な研修に行かなければなりません。また、中学校では部活動の大会や練習などで休みが取れることはほとんどありません。

 児童生徒にとっても夏休みにしか体験することのできない野外研修や体験の数々があり、その経験は学校では絶対に得ることのできない貴重な体験になるはずです。

 双方の立場からして必要不可欠な夏休みを削るという判断は賢明とは言えないと思いました。


 もちろん学力は大切ですし、保障もしなければなりません。しかし、中教審の資料には、以下のように書かれています。

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 この新型コロナウイルスは流行性疾患による不測の事態に値するのではないのでしょうか?すると、標準授業時数はいったん無視してもいいのではないでしょうか?まずは、授業の内容からどのくらいの授業数があれば学習すべき内容(学習指導要領上)は学習することができるのか逆算し、必要最低限度の授業時数を全国一律で出すことが必要だったのではないでしょうか?現状だと、各都道府県ないし各市町村ごとの対応で授業時数の格差は生まれてしまうのではないでしょうか?

 いずれにしても、標準授業時数にこだわりすぎていることに疑問が残ります。


 また、安全面で考えても登下校のとき、児童生徒は熱中症などのリスクがあります。また、いくら学校の教室にエアコンがあるとしても締め切ることはできないので、換気をしながらのエアコンの使用は果たして意味のあるのものなのでしょうか。学力を取るために犠牲にしている安全面が蔑ろにされている状況は学力の保証以前の問題だと感じてしまいます。


 学力と安全を天秤にかけると、どっちかをとるとどっちかのリスクを負うことになります。だから何が最適なのか難しいとは思います。今は学力を取るのか、安全を取るのかの2択しかないのかという状況になっていて、解決策が低迷しています。せっかくのオンライン授業など工夫をしてきたことも一過性のものになってしまうのでしょうか?せっかくのこの改革のチャンスを教育界は台無しにしてしまうのかと思うとこの国の教育にますます希望はないと思ってしまいます。。。


 記事になにか意見等ありましたら是非コメントいただきたいです。




 

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