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ベクトル解析から力場を理解すること -1-
計算力学を扱う上で必ず通ることになる「解析学」の話です。元を辿れば、高校数学で言う「微積分」が始まりでした。
こちらは以前に記事を書かせて頂きました。導入編に相当する1変数関数の微積分から、微分方程式や偏微分など応用的な話題も扱いました。
今回は新たな高等数学の話題として「ベクトル解析」について書くことにします。ベクトルの話は高校から登場しますが、関数(任意の独立変数に従い数値の変動を起こすもの)という視点から、ベクトルを扱います。
ここではベクトル場やスカラー場に帰属する「場」が登場します。その辺の解説をしながら、物理学の話に繋げるという試みです。今回は基本事項となる「ベクトル関数」の話から始めることにします。
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ベクトル関数について
例えば、高校の段階で扱うベクトルは要素が一定値に決められていて、関数のような振る舞いはしません。これに対して、時々刻々と変動する「関数」の概念を導入したものが「ベクトル関数」と呼ばれる存在です。
ベクトル関数の表現方法は主に2通りです。まず、対象のベクトルが何かのスカラー(時刻t)をパラメーターとした関数で表現される場合です。先ほど定義したスカラー(時刻t)が変化することで、ベクトルはその向きや大きさを変えます。
実例を考えてみると、ある場所で観測される風向と風力の時刻歴(データ)が挙げられます。
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もうひとつの表現方法として、ベクトルがベクトルの関数である場合(スカラーとベクトルが混在する場合)があります。
再び風向と風力の話を取り上げます。ある時間における風力と風向は、計測する場所次第で変わります。先ほどのスカラー(時刻t)だけの時刻歴(データ)は、固有の場所に限定した話と言えます。
場所を表すベクトル(位置ベクトル)も変数として、各拠点の時刻歴(データ)に拡張させます。こうすることで、各拠点の風の予報の話に持ち込みます。
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流体力学では、一般的に水や空気の流れをベクトルとスカラーの関数として表現します。ベクトル関数は物理現象を定式化する上で欠かせない概念と言えます。
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ベクトル解析で扱う「場」の存在
冒頭で紹介したベクトル場とスカラー場の話です。スカラーはひとつの要素(数値情報)を扱うのに対して、ベクトルは複数の要素(数値情報)を扱うという違いがあります。
具体的に、温度や重さはその値(大きさ)だけで話が成立するので、スカラーに分類されます。一方で、速度や力は3次元空間であれば3方向に分かれた数値情報が必要になるので、ベクトルに分類されます。
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そして「場」という表現ですが、文字通り「場所」もしくは「空間」のことを指します。空間内の任意の地点でスカラーまたはベクトル(関数)による値が規定されるのです。
空間内に規定される値がベクトルに由来する場合はベクトル場ですし、スカラーに由来されるのであればスカラー場となります。
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一般的にスカラー場はひとつの出力値(物理量)になりますので、その総計は分布として扱われます。一方でベクトル場は方向(成分)を持ちますので、その総計は流れとして扱われます。
実際に「場」が出てきたとして、次に知りたいのはその状態です。当該の「場」が回転しているのか、噴き出しているのか、どの程度の強度を持つのかなど。それに対する答えを導くために必要なのが、ベクトル解析と呼ばれる手法です。
上記に挙げた3つの特性は、ベクトル解析で言うところの「勾配」と「発散」と「回転」に対応します。英語表記(略語)で表す場合もあります(Aはスカラー場でBはベクトル場です)。
・勾配(gradient):grad(A)
・発散(divergence):div(B)
・回転(rogation):rot(B)
物理学の領域に繋げるならば、力学全般に言えることですが、3次元空間を対象にしている場合が一般的ですので、ベクトル場とスカラー場を区別して物理量を扱うことが必要です。
特にベクトル解析の問題では、場の区別を混同しがちですので、その辺はこちらも注意しながら連載を続けていきます。
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おわりに
今回はベクトル解析の初回ということで、ベクトル関数の意味合いから解説しました。ベクトル関数の微分(勾配・発散・回転)については、先々で引き続き解説していきます。
それぞれが単なる微分という操作に留まらず、物理的な意味を持つことにも、話題を展開させたいです。数学と物理学を繋ぎながら、数学のステップアップを目指すことにします。
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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事があなたの人生の新たな気づきになれたら幸いです。今後とも宜しくお願いいたします♪♪
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