【#27】材料力学の強化書 〜重ね合わせの原理ではりの問題を解く〜
今回のトップ画像は旧奈良監獄です。司法の近代化を掲げて造られた明治五大監獄のひとつで、ロマネスク様式のれんが建築が特徴的です。レンガでの建築でここまで原型を保ち続けるのは、並大抵のことではないように思えます。
さて、材料力学の話に戻りましょう。
前回ははりにおける不静定問題を扱いました。不静定問題とは、はり全体の力のつり合いとモーメントのつり合いだけでは、未知数(支点反力など)が求められない場合を指します。
今回も引き続き不静定問題を扱います。今回は「重ね合わせの原理」を利用することで、不静定問題をより簡単に解く方法について見ていきます。
重ね合わせの原理については、他の分野でも登場する話なので、ここで理解しておいて損はないと思います。
重ね合わせの原理
重ね合わせの原理とは、2つ以上の入力(荷重)に対する応答は、1つずつの入力(荷重)に対する応答の総和に等しいことを指します。材料力学に限らず、様々な分野で使われる法則です。
重ね合わせの原理を利用することで、応力や変位の計算が簡単になります。例えば、はりに複数の荷重が加わる場合は、ひとつの荷重で分けて考えて、それぞれの結果を足し合わせることで、全体の結果を求めます。
また、不静定問題のように支点反力や固定モーメントで未知数が多い場合でも、支持条件を分けて考えて、最後に全てを足し合わせます。
今回は後者(支持条件が多い場合)の例題を通して、重ね合わせの原理について説明します。
基本的な例題
今回は前回の際に取り組んだ一端固定他端支持はりについて、重ね合わせの原理を利用して解いてみます。詳しくは下記のノートを参照してください。
今回は「右端に集中荷重が作用する片持ちはり」と「等分布荷重が作用する片持ちはり」の2つに分けて考えます。右端の支持反力を前者の入力(荷重)と仮定して考えることがポイントです。
それぞれの右端のたわみを算出して、それを足し合わせた結果が境界条件からゼロになることを踏まえて、点Bの支点反力を求めます。
最終的にたわみ曲線は2つの場合の結果を足し合わせるだけ。この結果は前回求めた結果と一致しますので、やり方としても正しいと言えます。
おわりに
今回は「重ね合わせの原理」を利用して不静定はりのたわみ曲線を求めました。前回と同じ問題ではありましたが、こちらの方が簡単な問題に分けたことで、計算がやり易くなっていると思います。
荷重条件や支持条件が複数に跨る場合には、この重ね合わせの原理を活用することをお勧めします。材料力学は主に弾性範囲を扱うので、重ね合わせの原理が崩れることはまず無いです(線形の問題に対応するため)。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。
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