【#42】材料力学の強化書 〜衝撃荷重について〜
今回のトップ画像はイタリアのローマにあるトレビの泉です。ローマの定番観光名所ですね。コインを投げ入れれば願いが叶うと言われてます。
ポーリ宮殿の壁を背後として、中央に水を司る海神ネプチューン(ポセイドン)、左に豊饒の女神ケレス(デメテル)、右に健康の女神サルース(ヒュギエイア)がそびえる巨大なバロック彫刻の傑作です。
さて、材料力学の話に戻りましょうか。
前回は引き続きカスティリアノの定理を利用した、複数の集中荷重が作用するはりの問題を扱いました。
今回は衝撃荷重についてです。衝撃荷重に対する変形を求めるには、本来は慣性力の影響を考慮する必要があります(物体の運動方程式を解くことになります)。
これでは材料力学の知識では困難ですが、ひずみエネルギーの考え方を利用することで、簡易的ながら求めることができます。
衝撃引張の問題
これまで登場してきた材料力学の問題は、物体に荷重がつり合いを保ちながら緩やかに作用する状況(準正的と言います)を対象としてきました。
この条件下においては、物体に生じる加速度は無視できるほど小さいため、物体に働く慣性力の影響を考える必要がありませんでした。
しかし、現実の問題は物体がほとんど運動しない場合でも、物体をハンマーで叩くようなことをすると、荷重が瞬間的に作用します。今回は錘の落下による衝撃引張について見てみます。
上記の応力を求める式で、最下点(h=0)で衝撃引張を与えると、次のようになります。
$${\sigma=\frac{2Mg}{A}}$$
つまり、静かに変形を与える「準正的」の状況での応力の2倍になることが分かります。
実際には衝突の際にエネルギー損失があるため、初期状態のエネルギーが全てひずみエネルギーに変換される訳ではありません。つまり、衝撃荷重はここで求めた場合よりも小さくなります。
おわりに
今回はひずみエネルギーの考え方を利用した、衝撃荷重の問題に取り組みました。
物体に衝撃荷重が作用すると、運動エネルギーとひずみエネルギーの間でエネルギーの交換が行われます。この際の変形についてまとめました。
実際はエネルギー損失が生じるので、上記の通りにはなりません。その点は注意が必要です。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。
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