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わたしの本棚

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わたしの読書記録です。
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#小説

本棚:『バスに集う人々』

『バスを待つ男』『バスへ誘う男』に続く、シリーズ第三弾なのですが、この第三弾で完結なのかなぁ。『バスに集う人々』というタイトルだけあって、バス好きがたくさん出てきますが、第一弾、第二弾で出てきた人たちがバス仲間となっていて、「いいなぁ、もっと見ていたいなぁ」と思うけれど、読み終えての印象としては、これで完結なのかなと。 今回は路線バスの経路図がないなぁと思っていたら、東京を飛び出して、青森や福岡でのお話もありました。青森は行ったことがなく、福岡はほぼ出張でしか行ったことがな

本棚:『タルト・タタンの夢』

〈ビストロ・パ・マル〉シリーズの第一弾。勤めはじめて二カ月のギャルソンである主人公の高築智行、ソムリエの金子ゆき、副料理長の志村洋二、料理長の三舟忍の4名で切り盛りしているフレンチ・レストランが舞台。 表題作の「タルト・タタンの夢」と「割り切れないチョコレート」は、アンソロジーで読んだことがあるので、このシリーズ自体は知っていたのですが、ちゃんと読んだのは初めて。そして、読書メーターの感想を見て、「シェフは名探偵」というドラマにもなっていたのね、と知りました。(テレビをあまり

本棚:『バスへ誘う男』

シリーズ第2弾。前作とは主人公が変わり、今回の「私」は路線バスのコーディネーター。前作の主人公およびその妻の名前が本作で判明し、言われてみれば、主人公が自ら名前を言うことはないだろうし、説明部分がなければ、主人公の名前って分からないものかも…と思いました。そして、今回の主人公の名前と素性も気になるところですが、それが分かるのは終章。 きっかけは些細な嘘、もしくは、嘘をつくつもりはなく、相手の勘違いを訂正しなかっただけだったとしても、それが度重なると、修正するのは難しいかもし

本棚:『ソロキャン3』

インドア派で、キャンプをしたこともありませんが、シリーズ第3弾を見つけて、「あっ、読まなくちゃ!」と思って手に取りました。潜在的にキャンプへの憧れがあるのでしょうか。ちなみに実家は近くにキャンプ場がありまして、キャンプ場に来ている人たちは非日常を楽しんでいるんだろうけど、我が家にとってはこの景色、日常なんだよなぁ~なんて思っています。 主人公の千晶は、総合スーパーを軸とする会社で働いているものの、かつてカウンセラーの勉強をし、お人好しで、困っている人を放っておけず、わざわざ

本棚:『夕闇通り商店街 純喫茶またたび』

「夕闇通り商店街」シリーズの第3弾。お店の名前から想像がつくように、喫茶店のマスターは猫。というか、正しくは大きな黒い猫又さん。 どうして猫又さんになったかは、最後のお話で分かりますが、有川ひろさんの『みとりねこ』もちょっと思い出しました。本当のところはわからないけれど、猫が猫又になりたいと思う時、それは飼い主とずっとずっと一緒にいたいからなのかもしれないなと思うと、猫又さんは怖い妖怪ではないのかも。 ただ、猫好きではありますが、自分より大きな猫に出会ったら、びっくりするだろ

本棚:『バスを待つ男』

本書を知ったきっかけは、以前読んだ『ミステリな食卓 美味しい謎解きアンソロジー』。本書の第一章が収録されており、続きが読みたいなと思っていました。 ちょっとした謎、長年の謎を解くのは、元刑事の主人公ではなく、主人公から話を聞いた妻。けれども、謎を解いてほしいと頼んだ側は、主人公が解いたものだと思い、なかなか訂正できずにいます。 私が一番いいなと思ったのは、主人公と妻の夫婦仲。お互いを思いやっており、すごく穏やかな雰囲気で、出来すぎと言えば出来すぎなのかもしれないけれど、こう

本棚:『クロワッサン学習塾 謎解きはベーカリーで』

黒羽三吾は小学校の教員を辞め、息子とともに実家に戻り、父が開業したベーカリーに弟子入り。ある少女との出会いがきっかけで、店の定休日を利用して無料の学習塾をはじめてもうすぐ半年。また新たな出会いにより、学習塾の生徒が一人増えるが、両親の教育方針は真逆で…。 一番笑ってしまったというか、ニヤニヤしてしまったのが、学習塾で とあるイベントを開催するのですが、そのために協力してくれた人物の名前が未来屋圭一。職業は推理小説家。ミステリーを愛する、なんだか憎めない人ですが、これは著者が

本棚:『銀河の図書室』

「図書ノ / 教室ニ / 居リマス イーハトー部」の看板を見て、ピンと来る方もいるでしょうか。宮沢賢治の作品を読んだり、作家自身を研究したりする同好会。舞台は南関東の海の近くにある高校。『図書室のはこぶね』と同じ野亜高校の図書室が舞台となっています。前作の記憶はおぼろげなので、再読したいと思いました。 名取佐和子さんの作品との出会いは「金曜日の本屋さん」シリーズ。本は好きなのですが、学生時代の国語の成績はさんざんでして…。自分の好き勝手に解釈しちゃうから、ダメなんだよなぁと

本棚:『古本食堂』

北海道で生まれ育ち、両親を看取り、ひとりで暮らしていた珊瑚。東京の神田神保町で古書店を営んでいた次兄が亡くなり、店を相続し、単身東京へ。そして、長兄の孫娘、美希喜は以前から店に通っており、店の様子を見に行くこととなり…。 神田神保町も、途中で出てくる戸越銀座も、行こうと思えば気軽に行ける距離なのですが、今まで行ったことはなく…。本書を読んで、「これは行かなきゃ!行けるうちに行っとかなきゃ!」と思いました。そして、巻末には片桐はいりさん×原田ひ香さんの特別対談が載っていまして

本棚:『海と真珠』

「海と真珠」を踊ることとなった二人の主人公。性格も家庭環境も違う二人。お互いを意識しつつ、双子に見えるような演技を目指すが、彼女たちの前にはいくつかの難関が待ち受けていて…。 ちょうど同僚の娘さんがバレエを習っており、その定期公演を観に行ったこともあり、それまで全く知らなかったバレエの世界が少し身近に感じられました。主人公の二人の母親もまた対照的なのですが、娘を大事に思っている点は同じでして、どちらがいい悪いではなく、どちらも素敵だなと思いました。なんとなくバレエってお金か

本棚:『幸せのカツサンド 食堂のおばちゃん16』

予告通り「婚活食堂」シリーズの恵と真行寺が登場して、ニヤリとしました。まぁ、同じ時代の話なわけですから、行き来があってもおかしくはないのですが、やはり嬉しいです。同じ時代というか、そもそも現在進行形なわけで、そういうお店が実際にあるのかしらと行ってみたくなります。 ほとんど外食しないからわからないけれど、常連ともなれば、ただ美味しいものを食べるだけでなく、店員さんはもちろん客同士での会話など、楽しいんだろうなぁ。 ところで最近は巣鴨地蔵通り商店街に訪れる若者が増えているとの

本棚:『嫌な女』

とびきり美人というわけではないけれど、男に夢を見させる天才、夏子。そして、彼女がトラブルを起こす度に引っ張り出されるのは同い年で遠縁の弁護士、徹子。 夏子の話を聞けば、なんと自分勝手な女だろうと腹が立つものの、一方の徹子は徹子でクールすぎるというか。そして、だいぶ昔の設定なのねと思っていれば、彼女たちも年を取っていくわけで。あぁ、嫌な女も年を取るんだなぁと思うとともに、2人のことがだんだん(ますます)好きになってきます。いや、夏子は近くにいたら絶対迷惑で、頭にくるとは思うん

本棚:『本のない、絵本屋クッタラ』

場所は札幌。インクブルーの三角屋根が目印の『絵本屋クッタラ』には本が置かれていません。しかし、客の悩みを聞き、ふさわしい本を探し、後日渡してくれます。店を経営しているのは、広田奏と相方の八木ですが、八木が店頭には立たないのには理由があって。 小さいころは本が好きではなくて、絵本を読んだ記憶もほぼありません。唯一、思い出に残っているのが小学1年生の時の読書感想文の課題図書だった『わすれられないおくりもの』。 その後、『ウォーリーをさがせ!』が人気だったころは、図書室でみんなで

本棚:『55歳からのハローライフ』

もし、タイトルが「25歳からのハローライフ」とか「35歳からのハローライフ」だったら、手に取らなかったかもしれません。絶妙なお年頃といいますか、私にとってはまだ少し先だけれど、きっとこの頃にも、なんだかんだと迷っているんだろうなと思います。 20代のように、人生やり直せるぐらいの時間、気力、体力の余裕はないわけで。それでも、この先このままでいいんだろうか…と思っていそうな気がします。じゃあ、今はどうかというと、中身は違うかもしれませんが、同じようにモヤモヤはあるわけで。 でも