“絆はダイアモンド”―C.U.R.【Round1】
フラットに、そして美点を凝視
2022年4月28日。8時40分を少し回った頃、八尾市役所にほど近いミーティングスペース『VISION OFFICE BEE』には、株式会社あぷりの社員を乗せた車が既に数台集まっていた。
この日から約半年に渡り、コーポレートアイデンティティ言語化プロジェクトがスタートする。仮称として「MVVSSプロジェクト」と社内では呼ばれている。
代表の三宅隼平はもちろん、5名の施設長・管理者、人事担当、広報担当、そして、Next Generationと呼ばれる9名の社員、そしてこのプロジェクトのファシリテーターである株式会社パラドックスからも3名の計20名が初めて勢揃いした。
プロジェクトを通じて「フラット」であること、そして「美点凝視」の二点を前提条件としてスタートした。
耳の痛い話、ウェルカム
プロジェクト開始に先立ち、「Round0」と呼ばれたそのヒアリングが4月12、15、19日に、八尾太田、八尾都塚、志紀でそれぞれ執り行われている。
参加者一人ひとりへのプロフィールから始まり、これまでの経歴、仕事や会社に対する思い、さらには現在課題と感じている点などがヒアリングされた。
このRound1では、そのヒアリングで挙がった「職場の特徴」「大切にしていること」「会社の未来像」、そして「感じている課題」などが発表される。場合によっては参加者全員にとって耳を覆いたくなるような厳しい意見も予想される。
しかし、代表の三宅はオープニングの挨拶として、「課題をもしっかりと話してほしい」と、経営者としては耳の痛くなるような話も、ウェルカムな姿勢を見せた。むしろそういう話もきっちりと話し合うべきだという意思表示をした。
"Next Generation"の育成も含めた、言語化。
当社では、年々社員の平均年齢が低くなってきている。これは「介護業界」と「社会的背景」を鑑みた時、“今”から手を打つことで将来的な人手不足に対応していく考えの証左の一つである。
しかし、ここに課題も見え始めてきている。ベテラン社員同士で通用していた「あぷりっぽい」という感覚的な認識(=暗黙知)が人によって異なってくることも予想されている。これを代表は「経営上のリスク」と捉え、今回、このプロジェクトをスタートさせた経緯がある。
当社では経営理念を非常に重視しており、いかなるシーンにおいても理念の話が出る。「理念経営型企業」だと言えるだろう。しかし、暗黙知に対して、何も手を打たなければ大きな乖離が生じ、世代間の断絶、さらには「あぷり」の「らしさ」も失われてしまいかねない。
そこで、今回のプロジェクトには、管理者層のみならず、"Next Generation"と呼ばれる次世代社員にも参加してもらい、未来を見据え、人材育成の観点も踏まえた取り組みとしている。
「ここまで話したのは、初めて」
参加者16名を4名ずつ4つのグループに分けた。それからまず、このジェクトを通じて「解決したい課題」と「得たい成果」についてを発表し合ってもらい、ポストイットに貼り出してグループ内での考えをまとめてもらった。
当初は、それほど進まなかった議論も時間が経つに連れて要領も分かってきたのか、緊張もほぐれてきたのか、それとも「会社を良くしたい」という思いが勝ってきたのか、記入するポストイットの枚数も徐々に増えてき始めた。
カラフルなポストイットを貼れば貼るほど、華やかで賑やかな様になってきた。これからこのプロジェクトを通じてあぷりの未来がどんどん花咲いていく予感も感じる。
あるベテラン社員がぽつっと言った。「課題や会社の未来について、こんなにも大勢の社員とここまで話したのは、初めてやな」
その顔には、満足感があった。
強固な絆とまじりっ気のない志の証
これまで仮称として「MVVSSプロジェクト」。読む(呼ぶ)のにも、リズムがあまりにもよくないため、当初よりプロジェクト名の変更を考えていた。
そこで、Round1の最終テーマとして「プロジェクト名」を決めるというお題が出された。
各チームともいろいろな案が考え出されたが、方向性としてはこのプロジェクトの趣旨を理解している案が多く、「変化」「生まれ変わる」というものが共通項として挙がった。
その中で「Change Up Re」いう案が提示された。
Changeは文字通り「変化」を意味し、「Up Re」は「あぷり」と「Up=向上」、「Re=再」として、"あぷりがさらに高みへ向かって生まれ変わる"という意味を込めた。
そして、アイコン的なものとして採用されたのが「ダイヤモンド」。
鉱物の中で最も硬いダイヤモンドは「結束の固さ」を、炭素のみでできあっている様は「無色透明でまじりっ気のない」ところから、"あぷり社員の強固で、まじりっ気のない志の結晶"を意味している。
通称C.U.R.―この愛称が定着するにはまだまだ時間はかかるだろう。しかし愛称が定着することには、このプロジェクトへの理解も進み、社員が注目するプロジェクトになることを願う。