株式会社あっぱれ

地域が誇れる文化資源を継承していくために文化観光を推進するチームです。文化活用のあれこ…

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地域が誇れる文化資源を継承していくために文化観光を推進するチームです。文化活用のあれこれを不定期にお伝えしていきます。 https://appare-jp.com/

最近の記事

【伝統文化で「推し活」!? 】ファンとともに創る自走可能なマネタイズの仕組みとは

日本には、長い歴史を持つ文化が多く存在していまが、これらの文化の多くは社会環境の変化に伴い、資金不足や人手不足などの課題を抱えています。 祭りもその例外ではありません。 例えば、日本を代表する青森ねぶた祭り(青森県)は、200万人を超える来場者を誇りますが、その運営費用は、主催者の運営費(ねぶたの製作費を含まない)だけでも2億円を超えます。主催者は運営資金確保のため、高付加価値な観覧席の造成や、企業からの協賛獲得など、あらゆる手段で運営資金を集める努力をしています。 祭りや文

    • 【セミナーレポート】文化観光セミナー2024-文化観光が目指す未来-

      文化庁では、歴史・文化の豊かな京都の地から文化庁ならではの地方創生を実現するため、国・地域の宝である文化財について、官民連携で新しい価値を創造し、持続可能な活用を推進しています。 令和6年8月6日、京都文化博物館 別館において、文化庁開催の『文化観光セミナー 2024 ‐文化観光が目指す未来‐』が開催されました。 本セミナーで話された内容を踏まえて、文化資源の活用の先に目指す未来や、文化観光に必要な考え方についてまとめさせていただきます。 詳細は、セミナー全編が文化庁のチャ

      • 自走する文化財~旧三井家下鴨別邸の事例から~

        京都市左京区、下鴨神社近くの旧三井家下鴨別邸に行ってきました。 大正14年(1925年)に完成したこの建物は、豪商・三井家の旧別邸として、明治期の主屋を移築し、大正期に玄関棟を増築して作られたものです。 明治時代から大正時代にかけての和風建築の特徴を色濃く残しているレトロな雰囲気と、四季折々の風情を楽しめる庭園の調和が訪れる人々を魅了しており、京都の密かな人気スポットです。 また、近代京都で最初期に建設された主屋を中心として、大正期までに整えられた大規模別邸の屋敷構えが良

        • 神社で育む知的好奇心 ~子ども大学SAITAMAの取組現場から~

          「子どもは地域で育てる」 これは、子ども大学SAITAMAのポリシーである。 子ども大学SAITAMAは、さいたま市内の10才以上の子ども(小学4・5・6年生)を対象に、市内にある大学や各種学校、民間機関、地域、保護者の皆の協力を得ながら、大学レベルの内容をやさしく教える、「子どものための大学」として、毎月1回(または2回)子ども達の知的好奇心を能動的に育む機会を提供している。具体的には、大学のキャンパス等を会場に、大学教授や地域の専門家等が講師となり、講義や体験活動が行

        【伝統文化で「推し活」!? 】ファンとともに創る自走可能なマネタイズの仕組みとは

          民間人として神社と情報発信に取り組む意義

          先日、埼玉県神社庁北足立支部第一回 教養研修会において、「武蔵一宮氷川神社Instagram『氷川風土記』にみる神社からの情報発信の可能性」と題し、講演を行った。 私は同Instagramの文章担当として、画像担当の工藤裕之さん(写真家)と共に、講師を務めさせていただく機会を頂戴した。今回は同講演の内容を一部紹介したい。 まず自分が伝えたかったのは、”無理をすることなく情報発信をする方が長続きする”ことである。 その上で ■流行っているという理由でSNS発信を始める必要は

          民間人として神社と情報発信に取り組む意義

          みんなでお祭りを「オモシロ(OMOSHIRO)」にしてみよう ~第1回 日本のお祭りは面白い~

          ◆お祭りをオモシロにしてみよう! などと言うと、おそらく多くの各方面の方からお𠮟りを受けるような気がします。ただ、私はこれまであまり褒められてきた人生ではなかったので、お祭りのチカラを信じている一人として、このお祭りがオモシロくなるためにどうしたらよいか、気にせず考えてみたいと思います。因みに、ここで言う「オモシロ」とは、楽しく価値を高めていくという意味ですのでご理解をお願いします。  また、私は観光の専門家で、お祭りに代表される無形の文化財の保存と活用を観光のチカラを利用

          みんなでお祭りを「オモシロ(OMOSHIRO)」にしてみよう ~第1回 日本のお祭りは面白い~

          神社や地域が抱える課題-フィールドワークの現場から-

          はじめに 私は民俗芸能に関する研究を長年続けており、現在は複数の大学で民俗学を教えながら、武蔵一宮氷川神社の公式Instagramで神社や地域の歴史を発信する取り組みを行っている。 世界の情勢が刻々と変化し、日本における文化財の観光活用についても変革が迫られている今、神道をはじめ日本の信仰が育んだ文化資源のためにできることは何か。 自分なりに地域と複数年かけて取り組んでいる想いや内容を、あっぱれのnoteの場を借りて報告していきたい。 文化資源と信仰 日本の観光に文化

          神社や地域が抱える課題-フィールドワークの現場から-

          仮面を通じて考える日本の文化 ~国立民族学博物館特別展より~

          国立民族学博物館で行われている特別展「日本の仮面-芸能と祭りの世界-」に行ってきました。 日本の仮面と聞くと、どのようなイメージがあるでしょうか。 能や狂言で使われる面を思い浮かべる方、また仮面ライダーなどヒーローのお面を想像する方も多いかもしれません。 人間が何者かになるため、何かを演じるために装着するもの。 個人的には、仮面についてそのようなイメージを持っていましたが、この展覧会を体験すると、その認識は十分でないことがわかります。 仮面と祭り 展覧会の第1章とし

          仮面を通じて考える日本の文化 ~国立民族学博物館特別展より~

          日本のユネスコ無形文化遺産:地域の文化を世界へ

          こんばんは、あっぱれの伊東です。 前回のエントリーでご紹介した「和食」など、日本にはユネスコの無形文化遺産に登録された文化が多く存在します。 今回は、日本のユネスコ無形文化遺産について考えてみたいと思います。 ユネスコ無形文化遺産とは ユネスコの無形文化遺産は、音楽、舞踏、祭りなどの「生きている文化」を保護するための国際的な枠組みです。 2022年に登録された風流踊など、近年は2年ごとに日本の無形文化が登録されてきたため、時々ニュースなどで目にする機会もあるかと思います

          日本のユネスコ無形文化遺産:地域の文化を世界へ

          無形文化を学ぶ・体験する~日本のミュージアム紹介~

          こんにちは。あっぱれの伊東です。 突然ですが、先日こんな展覧会が開催されていたのはご存じですか?    昨年10月から今年の2月にかけて、国立科学博物館で行われた特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」です。 ユネスコの無形文化遺産に登録されている和食の成り立ち、素材の多様性、出汁と水の関係性、伝統的な技術…などなど、あらゆる角度から和食について考察する、大規模な展覧会です。 また、ラーメンやナポリタンなど、これって和食?というアンケートをYES/NOでリアルタイム

          無形文化を学ぶ・体験する~日本のミュージアム紹介~

          無形文化の未来に向けて~行政からビジネスの世界へ~

          はじめに はじめまして、株式会社あっぱれの伊東です。   鎌倉市役所で12年間勤務した後、今年4月にあっぱれにジョインしました。 前職では、世界遺産登録の推進、新設博物館の整備から運営、文化事業の推進など、キャリアを通じて行政マンの立場から文化財の保護、活用に携わってきました。   鎌倉は一般的に、源頼朝と武家のイメージが強いですが、近現代に至るまで多種多様な文化が育まれ、受け継がれています。有形・無形の文化財に加え、今は価値づけられていない将来の文化財など、日本の文化の

          無形文化の未来に向けて~行政からビジネスの世界へ~

          伝統は「守るべき?」「変えるべき?」

          はじめに みなさんはじめまして、株式会社あっぱれの加藤です。 2018年から6年間、オマツリジャパンという全国の祭りを支援する会社で、日本全国400件以上の祭りや無形文化に関わってきました。 今年3月に株式会社あっぱれにジョインし、noteの記事を書くことになり、最初のテーマは何がいいだろうと考えた時、タイトルのテーマを思いつきました。 伝統を変えるべきか、という議論が起こる場面は具体的に、 ・これまで日にち固定だった開催日を土日に変えるべきか ・人員不足の祭りで地域外の

          伝統は「守るべき?」「変えるべき?」

          会社をつくるにあたって無形文化への想い

          初めてのnoteを見ていただいてありがとうございます。 株式会社あっぱれを2024年1月に設立をしました。 あっぱれではこれまで500件以上の祭りを中心とした無形文化の活用支援を通じて得た専門的な知見や経験に加え、各分野の専門家とのネットワークを活かして、国内外の富裕層向けに無形文化の高付加価値に繋がるコンテンツ開発、コンサルティング、ライツ管理までを行います。 設立するにあたっての代表者として想いを少し書いてみたいと思います。 危機に瀕している無形文化現在、日本が誇

          会社をつくるにあたって無形文化への想い