【セミナーレポート】文化観光セミナー2024-文化観光が目指す未来-
文化庁では、歴史・文化の豊かな京都の地から文化庁ならではの地方創生を実現するため、国・地域の宝である文化財について、官民連携で新しい価値を創造し、持続可能な活用を推進しています。
令和6年8月6日、京都文化博物館 別館において、文化庁開催の『文化観光セミナー 2024 ‐文化観光が目指す未来‐』が開催されました。
本セミナーで話された内容を踏まえて、文化資源の活用の先に目指す未来や、文化観光に必要な考え方についてまとめさせていただきます。
詳細は、セミナー全編が文化庁のチャンネルにアップされていますので、そちらをご覧ください。
文化資源の活用をなぜ行うのか
文化資源の活用は、地域の魅力を高めるためだけでなく、文化そのものを未来に繋げる手段としても重要視されています。
担い手不足や資金不足などの課題を抱えた状態では文化継承を進めることができません。安心して次世代に継承するための仕組みづくりとして文化資源の活用を推進していく必要があります。
伝統工芸や歴史的建造物といった文化資源は、文化資源自体が地域の誇りであり、地域のアイデンティティを強化する役割を果たします。
これにより、地域住民のコミュニティ形成にも大きく寄与するほか、地域外の人とのつながりを創出します。
文化観光は新しいコミュニティや文化財活用に関わる人々によって新しい文化の創出にも繋がることが期待されます。
文化観光成功に向けた押さえるべきポイント
文化観光では、地域独自の文化資源をどのように観光に活用するかがポイントとなります。文化財を消費するようなコンテンツではなく、文化財の本質的な価値を伝えることができるコンテンツに仕上げなくてはなりません。
そのためには、地域住民や自治体との協力が不可欠です。文化財の担い手からコンテンツ制作のプロまで、あらゆるステークホルダーを巻き込み、協働することが求められます。
文化観光を進めるには、文化資源の活用が計画的・効果的に実施されるよう中長期的な計画を策定すること、また、単年度での実現性よりも、中長期的な再現性を意識することが重要です。
経験談・ステークホルダーとの協働の大切さ
文化財活用を進めるとき、地域などの関係者への配慮が足りないと、大きなトラブルやハレーションを生むことがあります。
地域や文化の関係者は多様で複雑です。一度背を向けられると二度と関われなくなるリスクもあります。関わる全てのステークホルダーに目を向けて、こまめに相談をしながら進めることが重要です。
また、地域の関係者に相談をするとき、文化資源の活用がどのように地域や文化財に還元されるかをしっかり理解してもらうことがポイントになります。一方的に文化財を利用し消費するのではなく、文化を継承するための仕組みづくりという大義を共有し、事業に対する理解を得ることが大切です。
文化資源の活用を実践している地域の特徴
行政内での各部署や組織の枠を超えた連携も必ず必要です。
弊社が携わらせていただいた、魚津市のたてもん祭りの高付加価値事業では、市役所の観光課・文化財課・観光協会・商工会議所・保存会の方をはじめとして、地域のお弁当屋やお土産屋など民間の事業者の協力も得ながら、さらに外部の制作チームとも協業して事業を進めました。
自治体や保存会だけで文化資源の活用を進めるのは困難です。
必要に応じて外部の力も借りながら事業を進めることで、高いクオリティで満足度の高い文化財の活用を進めることができます。
今の外国人観光客は何を望んでいるのか
外国人観光客のニーズは多種多様であるため、一言で表すことはできません。
それぞれの文化財の特性や地域特性がどのような層にアプローチできるのか、マーケティングが必須となります。
一つの文化財でも様々な魅せ方ができますが、ターゲットに合わせたコンテンツ造成が必要です。
文化資源というものは、我々の世代だけで消費するのではく、後世まで継承しリスペクトを持って活用していくという意識が大切です。
文化を大切にして後世に継承していくという姿が、結果的に外国人をはじめとする観光客の満足度を向上することにも繋がります。
まとめ・地域全体での協力が成功のカギ
文化観光は地域の魅力を高め、経済的効果と文化の継承を同時に実現する鍵となります。
そのためには地域住民や自治体、民間事業者との協働が不可欠であり、中長期的な計画と再現性が求められます。
文化観光を推進していく中で、文化財の本質的な魅力を発信し、文化財の担い手の想いに共感する人、ファンが増えることで、文化の継承に繋がります。
これからも文化観光が活性化し、文化を保護するだけではなく、新しい文化の創出に繋がることを期待しています。
本セミナーの本編はYouTubeで視聴が可能です。
是非ご覧ください ↓
株式会社あっぱれでは、これからも全国の日本文化の継承のために文化観光を推進してまいります。