ご当地パンを買って、ハイキングへ
先日、秋晴れが気持ちいい日。友人と3人で滋賀県長浜市にある賤ケ岳(しずがたけ)へ、ハイキングに出かけた。
琵琶湖の北端に位置する賤ケ岳は、標高421mの低山。足場も整備されているので、登山用の装備でなくとも登ることができる初心者にぴったりの山だ。
とはいえ、最後にハイキングしたのが10年以上前のわたし。不安しかない。トレッキングシューズ、キャンプウェアの上下などのフル装備を夫から借り、当日を迎えたのだった。
湖北(こほく)と呼ばれる長浜・米原市エリア。名前の響きとか、のどかな田園風景が広がるゆるい空気とか、訪れるたびに好きだなあと思う。岐阜からのんびりドライブできる距離にあるのがうれしい。
朝8時ごろ岐阜を出発し、まず向かったのは長浜市木之本町にある「つるやパン本店」。1951年創業の、地域に根差したローカルなパン屋さんだ。この日も観光客らしき人から地域のお年寄りまで、幅広い年代が訪れていた。
滋賀県民にはおなじみの「サラダパン」は、コッペパンにたくあんとマヨネーズを挟んだパン。ほかにも「サンドウィッチ」や「カステラサンド」など、昔懐かしいラインナップが魅力。レトロ感がたまらないパッケージは、どれも思わず手に取りたくなる。
いくつかパンを調達したのち、「パン、買いすぎちゃった」「もうお腹すいたね」等々つぶやきながら登山口の賤ケ岳リフト乗り場へ。
きれいな景色とパンのご褒美が待っている!という気持ちで山頂を目指すのみ。休憩をはさみながら、とにかく歩く。
不思議な植物に出会って足を止めたり、「頭上注意」と書かれたリフトをよけるようなコースに笑ったり。(もしリフトに人が乗っていたら、正面衝突するのではないかと思うほど近かった)
幼稚園くらいの子供や、お散歩中の柴犬に颯爽と抜かされながらも、案外すいすいと50分ほどで登ることができた。
山頂からの景色。琵琶湖は想像以上に大きく、まるで瀬戸内海のよう。
自分の足で登り切ったぞ、という小さな達成感も相まって特別きれいだった。
色づき始めた紅葉と余呉湖を眺めながらランチをする。人、人、人で溢れかえった観光地でなくても、十分に「秋」を感じられた。
180円のサラダパンも、インスタントコーヒーも、カップ麺も。この絶景とともに味わえば高得点。サラダパンはかなり前に一度食べたきりだったけれど、「こんなにおいしかったっけ」と思うほどに。
何年後かにサラダパンを見かけたときに、「賤ケ岳の山頂で食べたなあ」と、この日のことを思い出すんだろうな。
まちのパン屋さんで買ったご当地パンとともに、気軽に登れるハイキングに出かける。そんな新しい楽しみを、見つけることができた。