眠らぬ夜に戦って
眠気のかたまりが顔の真ん中にあつまって世界を吸いとる
僕たちだけの真夜中が始まって何周だってできる
あなたのまなざしを勝手に読み取って秘密をといた
眠くて重くて厚い、眠りたいのに心臓が運命に備えて体中に血流を送り込む
芯
臓
こんなにもたくさんを抱え込んで
それは夜、眠るために、
芯から夢が紡げるよう、百夜でも、千夜でも、
ひとりで地獄の予行演習ができるよう、
何万回の痛みにも世界が耐えられるよう、
僕が走っておいたんだ
悪魔の輪郭をなぞれるよう、
踊りの練習をしたし
神様の型抜きを食べるため、
歌ってのどを鍛えたし
影踏みで影をとられないよう、
走って呼吸を整えもした
芯から
臓物が
零れ落ちたら
明日の養分にしていいよと囁きもした
産まれたての詩がなによりも弱いなら
蟷螂よりも赤ん坊よりも弱いのならば
守ってあげるから、そのために、今日も世界で呼吸して
すでになつかしい心臓を震わせろ
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