(詩)長距離トラックの運ちゃんと
なんやラヴホテルの
すりガラスの窓に
ぽつぽつ赤い光が映って
それが映っては消え
さっきから映っては消え、するんで
ふしぎに思おて
おまえから離れ
窓を開けてみたんや
そしたらそれは
たいしたことない
目の前の高速道路を
走り去る車のライトに
すぎなかったんや
なんや流星かなんか、か思おたのに
そしたらそん時
一台の長距離トラックの運ちゃんと
目と目がおうたんや
あっちはあっちで
チカチカまぶしい
ラヴホテルのネオンながめ
今頃ええことやりやがって、なんて
思いながら通り過ぎてゆくし
こっちはこっちで
ただの車のライトを
流星かと思おたりしながら
幸せにしてあげたい
誰かを幸せにしてあげたい
おれら何のために
生まれてきたんや
おまえのことしんそこ
幸せにしてあげたい
おまえの肩を
ぎゅっとつかんで
そしたらそん時
すりガラスの窓に
不思議な赤い光が映って
導かれるようにその窓を開けたら
ぐうぜん一台の
長距離トラックの運ちゃんと
目と目がおうて
そん時おれ
その人のこと、ふいに
「にいさん」とか
呼んでみたい気分になったんや
にいちゃん、見てくれ
おれ今世界中で一番好きな女と
ここにふたりきりでいるんや
いいやろ、にいちゃん
いつかあんたと約束したな
いつか好きな女できたら
見せたる、て指きりしたなぁ
あぁ、わかっとる
今おまえはそこで
世界中で一番ええこと、してるんやな
そこは人間が一番やさしくなれる場所
そこは大人が大人のままで
子どもに還れる場所やから
こうしておまえを抱いている間中
いったいいくつ
流星がおれらの中を
流れていったやろ
それが銀河と同じだけの数になったら
おれらも銀河になれるやろうか
ここは人が一番
やさしくなれる
ここは大人が大人のままで
子どもに還れる場所やから
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