(詩)東京の人込み
教えてあげる
東京の人込みは海なんだよ
波の音だって
ほとんど絶え間なく
聴こえて来るしさ
だからきみが
ひとりぼっちの時は
東京の人波の中に
身を隠せばいい
丸で海に包まれるようにね
だけど知らない人に
ついていったり
あんまり遠くへ
行っちゃいけないよ
迷子になっちまうからね
いい大人が泣きべそなんぞかいてさ
だから
夜の帳が降りる頃には
ちゃんと帰っておいで
きみの居場所
きみのたたかいの場所へと
東京の人込みは
きみが本当に
ひとりぼっちの時
やさしい顔を見せてくれる
きみが本当に
死にたい位さびしい時だけ
やせたきみの肩をそっと叩いて
無口だけど
人懐こく笑いかけてくれる
東京の人込みって
東京の人込みは
そんなやつ
そんな海だから