どれくらいそうしていたかはわからない
差し込む日の明るさにくらむように目を覚ますと、見慣れてしまった天井に、嗅ぎ慣れた少し甘い匂い。またやってしまった、と重い頭を左へ向けると、そこにはいつまで経っても見慣れない整った顔の男。いつも伏せがちな目は完全に閉じられ、アレクサンドルを抱え込むように乗せられた左腕からは力が抜けて重たい。ゆっくりと規則的に上下するその肩を見て、珍しく自分のほうが先に起きたのだな、とアレクサンドルは起こさぬように慎重に体をひねる。
自分が押し退けたであろう、二人の間にわだかまる薄いブランケ