le matin de Noël

「……おはよう。なんじ?」
「五時半だ。珍しくちゃんと起きられたな」
「しばらく中央で真面目に働いていたからね。習慣というやつはすごい」
「今日は休まない?」
「そうだな、主が祈りを待っている。僕は悪魔の甘い誘惑に打ち勝ったわけだ」
「だが、今ここに君の存在を求める男がいるぞ」
「それこそ誘惑だ」
「君がベッドから抜けたら私は凍えてしまう。君はそれを見捨てるのか。ひどい司祭だ」
「言いがかりだ。そうやって引き止めたって無駄だよ」
「君の神は君の救いを求める人を捨て置けと説いているのかい」
「そんなわけないだろう」
「私は今君のぬくもりを心から求めている」
「おまえは人ではないだろう」
「人でなければ愛さなくていいのか」
「いや、そんなことはない」
「それならここにいるべきだ」
「それならここにいるべきか」
「寒い。もっとこっちに来てくれ」
「あまり温かくするとまた眠ってしまうよ」
「いいだろう、君の神ですら休息している」
「たしかにそうだね」
「君はもっと休むべきだ」
「それは僕が決めることではないよ」
「では私が決めよう。君は今日は休みだ」
「僕の神にでもなったつもりかい」
「そうだよ。私は今君の神だ。ほら、安心してお眠り」
「随分誘惑のうまい神だ。困ったな、離れられなくなったらどうする」
「離れなければいい」
「そうか」
「そう」

2021.12.25 クリスマスの朝