掌編小説 | 手紙というもの | シロクマ文芸部
手紙には重さが無かった。
しっかりと封をして、裏面にシールを一枚貼った。それから、今月発売されたばかりの風鈴の絵柄の切手も貼った。それでも、やはり重さはない。きちんと二十五グラム以内に収まっていて、厚みも規定内だった。
わたしはがっくりと肩を落とした。
落とした肩は〝ゴトッ〟という音を立てて地面に転がった。
「無様だなあ」
わたしは角張ったその肩のことを、もともとあまり好いていなかったが、改めてこうして真上から見下ろすと、ますます嫌になった。
嫌だと言ってもわたし