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小説 平穏の陰 シリーズ

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平穏の研究をする父と、人形技師の母を持つ少年が主人公。 両親の教えを信じ、真っ直ぐに育っていた少年は、初等学校で謂れなき暴力の被害に遭い、中等学校で一目惚れした先輩を自殺で失い、…
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記事一覧

小説 平穏の陰 エピローグ

以上が僕の経験と感情の記録。 多分、誰も経験したことのない出来事と、誰も共感することのな…

夏八木葵
5か月前
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小説 平穏の陰 第五部(2)

数日間、本棚を漁る日々を続けていた頃、家に電話がかかってきた。発信元の電話番号は、あの小…

夏八木葵
7か月前
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小説 平穏の陰 第五部(1)

僕の罪を、誰か裁いてくれないだろうか。 母さんに言えば殺してくれるかな。 そんなことを呟…

夏八木葵
8か月前

小説 平穏の陰 第四部(3)

此処を抜け出すと決めた日の前夜、僕は、先生への感謝の気持ちを手紙に綴り、脇机の引き出しに…

夏八木葵
9か月前
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小説 平穏の陰 第四部(2)

それ以降、僕は殺意を秘めて生きる事になる。 それはまるで、いざとなれば他者を殺せる凶器を…

夏八木葵
9か月前

小説 平穏の陰 第四部(1)

どのくらい眠っていたのだろう。 身体が鉛のように重く、動かせない。力の入れ方を忘れてしま…

夏八木葵
11か月前

小説 平穏の陰 第三部(3)

家に帰ると、ドアには鍵がかかっていた。 父さんが出掛けている――これは非常に珍しい事だった。 自分の鍵で家に入り、ダイニングテーブルに書置きがあるのを見つける。「急な仕事が入り出掛ける。帰宅は深夜か明朝になると思うから夕食は要らない」という内容だった。 何があったのだろう、と心配したが、すぐさまこれは絶好の機会かもしれないという思考に切り替わった。父さんからどう話を引き出すか全然決まっていなかったが、地下の研究室を覗くことができれば早いかもしれないと思ったのだ。 この家に住ん

小説 平穏の陰 第三部(2)

嫌な記憶が蘇ってしまった僕は、このまま教室に居ると無意識に暴言を吐きそうな気がしたので、…

夏八木葵
1年前
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小説 平穏の陰 第三部(1)

高等学校ではクラスの人数は更に増え、男女合わせて40人となった。男子の方が2人多い。まぁそ…

夏八木葵
1年前
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小説 平穏の陰 第二部(3)

「狂ってる」 僕は開口一番、そう言った。 「ああ、狂ってる」 と立花先輩も相槌を打つ。 「先…

夏八木葵
1年前
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小説 平穏の陰 第二部(2)

しかしその次の日、もっと予期せぬことが起こった。 彼女のクラス—―栗毛の先輩のクラスでも…

夏八木葵
1年前
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小説 平穏の陰 第二部(1)

12歳になった頃、僕は地元の中等学校に進学した。 僕が入ったクラスは男女共学で20人。割合は…

夏八木葵
1年前

小説 平穏の陰 第一部

「他者に対して憎悪を抱いてはならない」 「決して反撃せず、必ず自省すること」 「そして、何…

夏八木葵
1年前
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