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Anz
2021年2月16日 23:52
時の流れは早いもので、鈍行列車だけを使って東京に帰ったあの日々は、もう1年近く前のことになってしまった。時間的距離は科学の進歩で日に日に近くなり、今では新千歳空港から羽田空港まで2時間足らずで着いてしまう。それをわざわざ5泊6日かけて行くのは時代に合わない話かも知れないが、僕はその地域の人々が使う鈍行列車で、場に根付く雰囲気を読み取るのが好きだったりする。赤字路線だと定期利用客が学生しかいなかった
2020年11月9日 21:37
午前5時。愛媛の空はまだ白みだしてもいない。晩秋らしく冷え込んだ街を歩き、松山駅へと向かう。鉄道の朝は相変わらず早く、煌々と光る蛍光灯のおかげで遠くからでも駅舎は認識できた。往年の雰囲気を残す有人改札を通る。印の押された切符を見ながら跨線橋を渡って、2番線に停まる宇和島行きに乗った。列車に揺られること1時間、僕は瀬戸内海を眺む下灘駅で降りた。小さな無人駅には僕以外誰もいない。僕は一人で
2020年9月14日 22:59
カードキーを金属光沢の眩しい手すりにかざして、シックな高級感を漂わせる扉を開けると、自分の実家よりも絢爛かつ広大かつ優雅な空間が広がっていた。日々節約に勤しむ男子大学生3人がスイートルーム級の部屋に泊まるなど、僕自身が一番予想していなかったものなのだが、これは賛否両論巻き起こった例のキャンペーンのおかげである。結果特に何か良いことをしたわけでもないのに、CMか家電量販店でしか見たことがない壁掛けの