読書まとめ『千葉のトリセツ』→あなたのふるさとを知る一冊
『千葉のトリセツ』昭文社 旅行ガイドブック 編集部
一言で言うと
あなたのふるさとを知る一冊
概要
千葉県内の 4市・6か所に居住した
生粋の千葉県民として、読んでみました。
千葉県の魅力を語れるようにならねば。
地形・鉄道・歴史・産業の 4つの観点から、
千葉県の理解を深めることができる本です。
千葉県の分だけでなく、
各都道府県の「トリセツ」が出版されています。
千葉県は 1,540円でしたが、
1,760円や 1,980円のものもあります。
人口が少ない県だと高額になっている…?
なお、本書は、
昭文社(9475) の株主優待で入手しました。
2023年までは指定された本の中から選ぶ形でしたが、
2024年からはオンラインストアで使える 3,000円券に
変更になりました。
本稿では、本書で興味を惹かれた点を 3つ紹介します。
① 東日本屈指の古墳大国
千葉県の古墳の数は全都道府県で4番目に多い
というのは知りませんでした。
古墳といえば奈良県(8位) や大阪府(13位) の
イメージが強いですが、
数については千葉県の方が上回っているんですね。
奈良や大阪は古墳時代の中央たる地域なので
ひとつひとつの古墳の規模が大きいでしょうし、
都道府県の面積も考慮する必要がありますが。
それでも、11位の静岡県の 3倍以上の古墳がある、
東日本屈指の古墳県だと言えます。
内房エリアを中心に、
県内に約 720基の前方後円墳があります。
前方後円墳は、ヤマト王権との
関係が深い地域に見られる形態です。
千葉県と古墳時代の中央(近畿地方)との間は、
物理距離は遠いものの、
交流は盛んに行われていたことが伺えますね。
中でも、富津市の内裏塚古墳は、
南関東で最大の規模を誇る前方後円墳です。
JR内房線・青堀駅の南にあります。
このあたりは、かつての職場の近くで、
当時そんな古墳があることなんて
知らなかったのが悔やまれます…
出土品は佐倉市の国立歴史民俗博物館に
展示されているそうなので、
そちらも見てみたいですね。
② 小湊鐡道は小湊まで行かない
千葉県を代表するローカル線・小湊鐡道は、
実は小湊まで行きません。
東京方面からの終点は上総中野駅で、
もともとの目的地・小湊までは未通になっています。
小湊鐡道は、日蓮の生家跡や誕生寺がある
小湊への参詣客輸送を見込んだ路線
として開業しました。
しかし、様々な理由が重なり、
上総中野から小湊方面への延伸を断念。
資金不足
技術的な問題
(皮肉にも、日蓮ゆかりの清澄山が障害に)上総中野から大原に国鉄木原線(現・いすみ鉄道)が開通し、
外房に抜けられるようになった
延伸を断念した事情も合わせて、
鹿島建設のページに詳細がまとめられています。
南房総や外房は、陸路でのアクセスが悪い分、
豊かな自然が残っています。
小湊鐡道は、トロッコ列車を走らせるなど、
東京近郊ながらノスタルジーを楽しめるような
取り組みを推進しています。
昨今、旅の目的は、参詣や観光地に行くことから、
旅そのものを楽しむように変化しつつあります。
現在進行形で懐事情は厳しいようですが、
近すぎず遠すぎずな距離感のローカル線として、
「小湊に行かない小湊鐡道」は
独自の魅力を放つ存在です。
③ 再注目される下総台地
「開発に失敗した街」と思われていた
千葉ニュータウンが、奇跡の復活を遂げています。
特に、千葉ニュータウンの拠点となる印西市は
東洋経済新報社の「住みよさランキング」で
2012年から 7年連続で首位。
人口も 2009年 6.6万人 → 2019年 10.3万人と、
1.5倍に増加しています。
人気の秘密は、そこが下総台地だったから、
と言っても過言ではありません。
下総台地は水の確保が難しいため農業に適さず、
江戸時代は放牧地として
馬の飼育に利用されていました。
本格的に人が住み始めたのは明治期以降になるので、
適度に自然が残っていたり、ショッピングモールなどの
大規模用地を確保しやすかったりします。
また、他のニュータウンのような山を切り開く
開発をしていないので坂が少なく、
住民が高齢化しても住みやすいのではと言われています。
下総台地は地盤が強固で、活断層もないため、
災害に強く、金融機関やデータセンターの立地
に適しています。
直近では、Google が印西市にデータセンターを
建設したことでも話題になりましたね。
東京への道路・鉄道に加えて、
成田空港へのアクセスもよく、
物流の一大拠点にもなっているんだとか。
江戸時代以前は難しかった水の確保をクリアし、
東京一極集中を避ける動きや
災害に強い国づくりが叫ばれる中、
下総台地への注目はますます高まると感じました。
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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。