読書まとめ『秒で使えるパワポ術』→スライド=主張×哲学×美学
『秒で使えるパワポ術 一瞬で操作、一瞬で解決』豊間根 青地
一言でいうと
スライド=主張×哲学×美学
概要
トヨマネ|パワポ芸人 さんの著書があると知り、読んでみました。未読ですが、「秒で伝わるパワポ術」に続く2冊目とのこと。
「秒で使える」の名の通り、知ればすぐに使える実用的なパワポのコネタ=ポネタが満載。各ポネタは、パワポのスライド4枚と解説が見開きでまとめられています。改善のビフォーアフターが視覚的にわかります。
また、伝えたいことをハッシュタグ化するアイデアがおもしろいです。端的な表現にすることで、覚えやすくする=使えるようにする工夫ですね。トヨマネさんは、パワポの表現力は言うまでもないですが、そこに載せる言葉選びのセンスが秀逸だと感じました。
巻末には、実際に手を動かして改善をアウトプットするための「イマイチ資料」が掲載されています。これも挑戦してみようと思います。今すぐやると、トヨマネさんのパチモノにしかならなさそうです…
本稿では、主張・哲学・美学の3つの切り口で、本書からの学びを紹介します。文章でまとめてはみたものの、やはりトヨマネさんのスライドによる視覚的インパクトがあってこそなので、本書を手に取るきっかけになれば幸いです。
① 主張:メッセージを明確に
スライドには、主張となるメッセージがあるものです。言いたいことを明確にしてから、それを伝える手段としてのスライドを作るのがあるべき流れ。
メッセージが明確でないと、結局何が言いたいのかわからないスライドが出来上がります。とりあえず売上推移をグラフにしてあるけど、総売上の増加か、自社シェアの増加か、セグメント別の変化か、結局何が伝えたいの?なんて指摘は、私もよくもらってました。
メッセージを明確にしたら、メッセージ以外の余計な要素は追加しない・切り捨てです。脇役を目立たなくすることで主役を引き立てる、和食と同じく、引き算の考え方ですね。
② 哲学:読まずに伝わる構造作り
構造を統一することで、一瞬で伝わるスライドに近づきます。具体的には、キーメッセージの位置を固定する、使う言葉を揃えるなど。また、同じ概念は、同じ位置・同じ形・同じ色で表現し続けます。実線と点線、四角とカドが丸い四角といった使い分けは、ルール・型を決めておくと迷いがなさそうですね。
型通りに進めることは、受け手に対して、理解のガイドラインを引いてあげるような感覚だと思いました。以前読んだ『書く技術・伝える技術』で、パラレリズムで受け手のメンタルモデルを作る、と表現されていた概念です。パラグラフ・ライティングでは書く順番で要約と詳細の関係を明確にする一方、スライドの場合は図形の位置で親子関係や並列関係を示すことができます。
スライドマスターの活用や作成済み図形のコピペも、パワポ内で型を作って繰り返し使う、という意味で同じ考え方ですね。レイアウトを考えたりルールに合わせたりする作り手側の負担を下げる効果が期待できます。
③ 美学:デザインには理由がある
それぞれの要素に対して、なぜその位置・その形・その色にしたのか、ちゃんと説明できる状態が理想です。毎回説明するのは大変なので、②で決めた型を守ることにもつながりますね。
メッセージを明確に伝えるデザインを作るために、いったんすべてグレーの濃淡で作ってから、必要なところにだけ色をつける、というやり方が紹介されています。大した理由もなく様々な色を使ってしまう事態を防げそうです。このやり方は即使おうと思いました。上記ハッシュタグの語呂も好き。
また、本書で紹介されている各テクニックに対しても、なぜそう言えるのかの理由が記載されています。例えば、2つの円グラフを並べても差は伝わりにくい、なぜなら人間の目は角度の細かい差を認識できないから、など。「こうするといいよ、なんとなく見やすいから」で終わらせていないところに納得感を感じました。
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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。