見出し画像

読書まとめ『超!簡単なステージ論』→鬼龍院さん、マジ平等院

『超!簡単なステージ論 舞台に上がるすべての人が使える72の大ワザ/小ワザ/反則ワザ』鬼龍院 翔


一言で言うと

鬼龍院さん、マジ平等院



概要

ノリと勢いで読んでみました。4/21に出版されたばかりのこの本を早々に蔵書した我が街の図書館グッジョブ。

ゴールデンボンバーのリーダー・鬼龍院翔さんが、ステージ活動で得た学びを共有してくれる本です。ゴールデンボンバーは、ヴィジュアル系エアーバンドという独自のジャンルを開拓した、唯一無二の存在。

そのリーダーである鬼龍院さんは、ニッチトップ企業の創業者・経営者と言ってもいいのかもしれません。バンドの方向性を決める戦略家であり、楽曲を制作するアーティストであり、最前線の現場で活動するフロントマンでもあります。敏腕すぎる。


本書はあくまでも「誰でもマネできる方法論」にフォーカスされています。芸能人・アーティストが本を出すと自伝っぽくなりがちな印象ですが、自分のノウハウを惜しげもなく公開しているところは好感度高いです。

掲載されている方法論に通底しているのは、やさしさ・平等・気配りだと感じました。ステージに立つ職業でなくても、人に何かを伝えるときの心がけのヒントが満載です。伝え上手に近づくにはスキルやテクニックよりも「やさしさ」だという点で、『バナナの魅力を100文字で伝えてください』での主張と一致してますね。


本稿では、鬼龍院さんのやさしさを実感できる声かけを紹介しつつ、3点でまとめます。



① 右手を振ってください。でも無理しないで

人それぞれの考え方や事情を考慮したやさしさが感じられる一言。お客さんに曲の振り付けをお願いする際に、「やる・やらないは自由である」というムードを作っています。強制ではなく断りやすくするやさしさですね。

鬼龍院さんは、身体的な事情や心の病を持っている人がいるかもしれない、と考えながら活動していることが本書から伺えます。統合失調症の割合は100人に1人、横浜アリーナの収容12,000人のうち120人と考えたら結構身近だ、という考え方も印象的でした。少数だから、自分とは関係ないから、と切り捨てず、ちゃんと調べて理解に努めている姿勢は、ダイバーシティ経営と言ってもいいでしょう。

また、簡単な振り付けを、明確に説明していることもわかります。初めてライブに来た人でも一緒に楽しめるように、というやさしさの現れと考えられます。複雑な振り付けだと覚えるのが大変だし、簡単な振り付けだったとしても説明がなければ「これで合ってるのかな?」と不安になりますよね。そういうことに気を取られずに、楽しむことに集中できる環境を作ろうと努力されているのだと感じました。



② 一番後ろのサイドの方、見えていますか!

会場の全員を平等に扱い、疎外感を生まない配慮が感じられる一言。ステージが一番見えにくい場所にいるお客さんに向けて、ピンポイントで気づかいの言葉をかけています。

鬼龍院さんはリハーサルのときに、ステージが見えにくい場所を調べるようにしているそうです。観客席を歩き回り、目線の高さに他の人の頭があるとイメージしてステージを見て、その状態でもお客さんが視認できるパフォーマンスをするよう意識しているとのこと。こういった入念な下調べがあってこそ、ステージ上でピンポイントな気づかいの言葉がかけられるのでしょうね。

なお、外に対しては平等の姿勢ですが、内に対しては公平の姿勢だと感じました。バンド内のギャラの配分については、全員平等ではなく、仕事をした人が多くもらうようにするべきだと主張されています。バンド運営のたくさんの仕事を全員で平等に負担することはできないし、メンバーそれぞれの得意・不得意や処理能力の差もあります。多くの成果を上げた人に多くの報酬が支払われるのが当然だという姿勢は、バンドを仲良しグループではなく目的実現のための組織として捉えているように感じられます。



③ 前の方に来たかったらぜひ!

行動のきっかけを与えてあげる気配りの一言。「対バン」と呼ばれるライブ形式では、ゴールデンボンバー以外のバンドと共演する形になり、自分たち目当てではないお客さんに向けてもパフォーマンスをすることになります。そういった人たちを巻き込むために、気配りの声かけをしていることが伺えます。

指示・命令系ではなく、下から目線でのお願いの姿勢が重要だとも語られています。別に「前の方に来てください」とか、初期ヴィジュアル系っぽく「前に来いよ」とか、指示・命令系でもよさそうなものです。そこを、聞き手の事情も考慮して断りやすい形にした結果の、下から目線なのだと思います。

また、リハーサルで確認が終わったらすぐ終了する、というのも周りへの気配りだと感じました。会場のスタッフや他の出演者のことを考えて、スケジュールが押さないように配慮しているそうです。ライブ全体のスケジュールが押せば、スタッフが焦ってミスをする、他の出演者のパフォーマンスのクオリティが下がって会場が盛り上がらなくなる、開始が遅れてお客さんのテンションが下がるなどの悪影響があります。自分たちだけでなく、周囲の関係者と一緒にライブを作っている、という考え方が重要だと思いました。



Amazon.co.jpアソシエイトに参加しています。


#推薦図書 #読書 #書評 #最近の学び #ステージ論 #ステージ #ゴールデンボンバー #鬼龍院翔 #キリショー #プレゼンテーション #エンターテイナー #アーティスト #ライブ #やさしさ #ニッチトップ #創業者 #経営者


この記事が参加している募集

いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。