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読書まとめミニ『押す図鑑 ボタン』

『気になるコレクション 押す図鑑 ボタン』西村 まさゆき


概要

様々なボタンスイッチを集めて考察した本です。子ども向けかなと思ってタイトル借りしたら、大人が楽しむ雑学系でした。

本書では、ボタンは「人類が文明を維持し発展させるための最も重要な装置」と表現されています。音声認識で動かす方法も実用化されているとはいえ、我々の生活はボタンなしには成り立ちません。本書のコラムにて、現代人は1日に50回以上ボタンを押していると試算しています。さらに仕事や勉強でパソコンを使う場合は、キーボードが約3000回と、マウスのクリック(概算なし)が加算されます。

普段押しているボタン、なかなか押す機会のないボタン、非常時に押すボタン、創作の中のボタン、とにかく多種多様なボタンが登場します。それらの仕組みや歴史、関連情報が紹介されています。

それらの中から、特に興味深かったものを3つ紹介します。気になった方は、ぜひ本書の写真でも見てみてください。


① バスの降車ボタン:凹み具合に工夫

子どもが押したがるボタンの筆頭、バスの降車ボタンがトップを飾ります。その歴史やバリエーション、工場での作り方までマニアックに紹介されています。

そんな降車ボタン、設置される位置によって凹みの深さを変えていることをご存じでしょうか。窓サッシのボタンを基準にすると、手すりのボタンはカバンなどが当たるおそれがあるので、凹んでいます。一方、車イス利用者のボタンは、押しやすいように出っ張っています。

こんな細かい配慮がされていたとは。今度バスに乗るときには、実物を確かめてみたいですね。


② レトロ自販機:ボタンでボタンを押す

特に気になったのは、ポップコーンのレトロ自動販売機。中を開けると、普通の電子レンジがベルトに固定されて鎮座しているそうです。購入ボタンを押すと、電子レンジにポップコーンの袋が放り込まれ、加熱ボタンが押される仕組みになっています。

つまり、ボタンでボタンを押す仕組み。なんだか、RPAを使ってアプリのボタンを押させている様子に似ていると思いました。

調理完了後、扉を開けて、電子レンジを傾けて商品を取り出し口に滑らせるそうです。検索したら著者が書いたWeb記事が出てきて、そこでは「高度なピタゴラスイッチ」と表現されていました。


③ 参議院の投票ボタン:空転するDX

1998年から参議院で導入されました。起立や札ではなく、座席にあるボタンを使って、議案への賛否を表明する仕組みです。迅速に集計・公表できること、各議員の政治責任を明確化できることなどのメリットがあります。

導入されているのは参議院だけで、衆議院では反対多数で見送られています。理由は、緊張感がなくなるからとか、牛歩戦術が使えなくなるからとか。やり方だけアップデートしようとしても、使う人間がアップデートされなければ、絵に描いた餅だなと思いました。

ちなみに、コロナ対策で座席間隔を空けたため現在は使用できない状態ですが、それでも年間2500万円の維持費がかかっているそうです…


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あんぱんだ | 視える化推進エンジニア
いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。

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