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恒例の平林監督へのホースライディング記事です。イギリス英語で乗馬はホースライディング、米語ではホースバックライディングです。皮肉屋のイギリス人は「アメリカ人は『背中』と言わないと、どこに乗るのかがわからない」と言います。日本の場合は「乗馬」なのでどこに乗るのかはわかってますね。というわけで監督の記事の尻馬に乗ってみます。
「中年のあるべき振る舞い」に関して平林監督の投稿はいつも面白いので、つい尻にノリで乗ってしまいます。沖縄料理っぽく言えばシリノリノリです。
真面目な話、中年の仕事ぶりには達観と出家が必要不可欠と言っても過言ではありません。簡潔に言えば「とにかく偉そうにすんな」です。具体的な描写は避けますが、つい先日、仕事の現場で理不尽な目に遭いました。平林監督が否定する、凝り固まったベテランであればパチ切れていたことでしょう。それほどスゴい出来事だったのですが、自分でその状況を俯瞰したとき、「ああ、おっさんってここでパチ切れるから仕事がなくなるんだな」とわかりました。
別の仕事場でその話になったとき「あなたほどの人が、そんな扱いによく我慢しましたね」と言われたのですが、まったく頭にはきていませんでした。まず自分を「あなたほどの人」だなんてちっとも思っていませんし、私を信頼していつも仕事を依頼してくれる人とは無関係に起きた出来事だったからです。優先すべきはたまたま出会った不愉快な人ではなく、今後も信頼関係とともに仕事をしていく人です。どんな仕事でも人間関係でも、細かい文句を言おうと思えばいくらでも言えるものですが、トラブルを芸人っぽく「エピソードができてラッキー」と考えればいいのです。
若い頃は自分がナイガシロにされることに敏感でした。自信や実績がないことがわかっているので過剰に防御しようとしていたんですね。今でも自信や実績などはありませんが、経験だけはたくさんあり、攻撃されると傷つくべき場所がカカトくらい角質化してカッチカチになっているので無敵です。そうなると安っぽい自己顕示欲から出家して、頭髪も自然出家して、どんな不都合があろうと平然としていられるのです。
以前、平林監督と、空港のビジネスクラスラウンジとファーストクラスラウンジの違いについて話したことがあります。ファーストクラスの客は悠然としているのに、ビジネスクラスにいる客は権利を主張気味という事実でした。「俺はビジネスクラスに乗っているんだぞ」という中途半端な驕りと自己顕示欲がビーフカレーの香りに混じってラウンジを漂っているのです。確かにそれを中堅からベテランの中年の仕事ぶりに置き換えるとわかります。
「俺を誰だと思っているんだ」というような典型的な威張り方をする人は仕事の現場からどんどん弾き出されています。いくら有能でも、です。仕事がやりやすく、偉そうにせず、なおかつ有能な人がベストに決まっていますから。昔はどれほど気難しくても「あの人はカリスマだから仕方ないよ」といって許してくれるような雰囲気がありましたが、今そんなのは残念ながら皆無です。皆無ソーリーと言えましょう。
執拗なオヤジギャグも、やめておいたほうがいいかもしれません。
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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。