カミナリの落とし方
うちの浴室には窓がない。
したがって自宅のなかで外の音がいちばん聞こえにくい場所である。
昨夜湯船につかっていると、なんだかゴロゴロと雷のような音がする。
いやーまさか。
上階の住人の生活音だろうと思った。
わたしと同じ夜型なのか、深夜になるとドタドタガチャガチャやりはじめるのが日常茶飯事だから。
しかしやっぱり、音の雰囲気や間隔からどうも雷っぽい。
風呂から上がって部屋に戻ると、カーテンを閉めているのに目の前がチカチカするフラッシュ。
パリパリパリ……ドカン!
地鳴りのような雷。腹にまで響く。
カーテンをそっと開けて外の様子を眺めると、芸能人の謝罪会見なみに空はチカチカと光っていて、ゴロゴロドカンドカンひっきりなしに鳴りつづけている。
わたしは昔から雷を眺めるのが好きだ。
まったく電気なんて通さなそうにみえるふわふわした雲からすさまじい電気が放たれるのだから。摩訶不思議でならない。
「カミナリ親父」とかいうけれども、「うおぉぉぃ!わしは今ご機嫌斜めなんじゃいぃぃ!!!」と空が怒りを発散しているんだなあと思う。
大胆な発散方法である。それもこんな真夜中に。
ちょっと収まったかなと思ったらまたどでかい雷がバーンときて、昨夜はたぶん1時間~2時間ぐらいは空のバチギレが続いた。
∽∽∽
わたしの昔の上司のような一部の人間は、怒ると文字通り雷を落とす。
怒鳴るだけ怒鳴り、ゴミ箱を蹴り、メモ帳を投げ、ドアもダーン!と閉めて出ていく。
今は本当にそういう振る舞いをする人は減ったけれども、それだけキレ散らかせるのってある意味すごい。
後先考えていないっていうか。
わたしもたまにそうしたくなるときがある。
ドラマでよくあるみたいに、机の上のものをザバーッと床に落としてみたり、壁を殴って穴開けてみたり、モノを壊してみたり。
でもそのあとが大変じゃん。
その微妙な冷静さが勝って、結局いつも歯をぎりぎりするぐらいに留まっている。
その場に誰かいたら、なんか気まずいし。
そもそもそこまで怒りのボルテージが上がらないようには意識しているけれども、やっぱりたまには「あ゛ー!!!」って、全身かきむしりたくなるようなときがあって。
怒って大声をあげるとかモノに当たる人間は嫌いだが、ああいうカミナリ人間は怒りが冷めるのも比較的早い。今の今まで大荒れだったのに、こっちが拍子抜けするぐらいすぐにケロッとしている点だけはうらやましい。
たぶん、わたしにとっての雷は掃除か散歩だ。
怒りも収まるし、掃除すればきれいになる。散歩なら運動になる。
どっちにしても一石二鳥。
雷(電気)がエネルギーであるように、怒り(感情)もエネルギーだから。
うまいこと使っていきたいよねと思う。
今もまた外は雷。
わたしも片づけるべきこと、片づけますか。
今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたにとっての雷行動はなんですか?
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