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仕事と自分の命、どちらが大切ですか?(北川恵海:『ちょっと今から仕事やめてくる』)
北川恵海さんの『ちょっと今から仕事やめてくる』(メディアワークス文庫)という作品を読みました。
今作では、超ブラック企業で働く主人公・隆が仕事に疲れて死のうとしていたところを「ヤマモト」という謎の男性に救われ、人生を変えていく様子が描かれました。
職場でのパワハラ、残業は当たり前、休日があっても疲れがとれない、日曜日の夜は明日からの仕事が憂鬱になるetc…
隆の過酷な日常は、私の経験や少し前までの気持ちと重なるところも多く、読むのが辛くて途中で本を閉じようかなとも思ってしまいました。
その一方で、今の私の心にも刺さるヤマモトの言葉も多く、結末はタイトルで明かされているのに不思議と目が離せない物語でもありました。
仕事内容が辛くても「正社員」として働き続け、今後の生活に備えていきたいと考える隆をヤマモトは疑問視します。本当は仕事を辞めたくても、現実はそうはいかないと思い込んでいる隆にヤマモトはこのような言葉をかけます。
「隆にとって、会社辞めることと、死ぬことは、どっちのほうが簡単なわけ?」
仕事を辞める意思を会社に伝えるのは、かなり勇気がいることだと思います。私も先月それを経験しました。
だけど今作を読んだら、嫌な仕事を辞めることって、それほど難しくはないことを実感しました。むしろ働き続けて、生死に関わる事態に発展してしまう方が恐ろしいです。
また自分の人生は自分のためだけでなく、大切な人のためにもあるという箇所も印象的でした。私もこれまで「働く」ということに対して、自分のこれからの生活に困らないようにすることばかり目を向けていました。
しかし、両親をはじめとする大切な人たちがいるからこそ、今の自分の生活が成り立っていることも忘れてはならないと今作から気付きました。
会社の倒産で職を失った親を見てきた過去もあり、嫌でも今の会社を長く勤めなければと隆はこれまで思い込んでいました。
でもヤマモトに導かれて、親の本当の気持ちを知れたからこそ、隆は大切な人のありがたみをより深く感じるようになったし、これからの仕事に対する意識もグッと変われたと思います。
超ブラック企業を辞めた後の隆は、まずは最低限のお金を稼ぐためのアルバイトと自分探しをするという道を選択しました。
私も前職を辞めて2週間くらい経ちますが、最近はなるべく早いうちに次の仕事を見つけたいという焦りや、新しい仕事に就けたとしても前みたいにブラックな職場環境だったら嫌だな…と不安を感じることが増えています。
だけど無理に今すぐ正社員になろうとしなくても、自分のペースで自分に合った働き方を見つけていけばいいことを隆から教えてもらいました。働き方もいろいろあるし、まずは何かしらの経験を積んでいくことが今の自分には必要なのかなと思いました。
今作は単発ものかとずっと思っていましたが、先日メディアワークス文庫のサイトを見ていて続編もあることを知りました。隆たちがその後どうなったか気になるので、もう少し時間が経ったら続編の方もぜひ読んでみたいですね!
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