ミステリーってやっぱりいいな(結城真一郎:『#真相をお話しします』)
今年の本屋大賞にノミネートされている結城真一郎さんの『#真相をお話しします』という作品を読みました!
今作には、5本のミステリー短編が収録されています。どの作品も「違和感」という言葉が重要なカギとなっています。シンプルに驚く目的で読むも良し、謎解きに自信のある人は作者が仕掛けた罠に挑んでみるも良し。最後まで見逃せない展開満載の一冊です!
また、ユーチューバーやマッチングアプリなど身近な話題を盛り込んだストーリーも今作の魅力。馴染みのある話題だからこそ、自分の日常にも起こりうりそうな話に感じてきます。寝る前に読み出したら止まらなくなって眠れなくなるかも?
***
私が読んでいて特に面白かったのが、『惨者面談』と『#拡散希望』の2本です。前者は家庭教師の営業、後者はユーチューバーに憧れる島暮らしの小学生の視点で描かれる物語となっています。
この2作品に共通するのが、どちらも「子ども」が作品の大きなカギとなっているところだと思います。
本やテレビだけでなく、インターネットがあれば知的好奇心を満たせる現代。私が小さい頃からパソコンは当たり前のようにありましたし、今ではスマホというインターネットが更に身近に感じるアイテムがあります。気になることをすぐに調べられるのがスマホのメリットだとは思いますが、中には子どもにとっては毒のような情報だって山ほどあります。
インターネットに限らず、たくさんの情報で溢れた世の中に潜む毒に触れてしまった今作に登場する子どもたちは、もはや大人よりも恐ろしい存在なのかもしれない。もし彼らが大人になったらどんな人間になってしまうのか、怖いもの見たさで気になりますね…。身近にありそうな恐怖にゾッとした2作品でした。
***
他の収録作も自分の予想を軽々と飛び越えていく展開のオンパレードでした。「騙される」ことに悔しさよりも爽快感が勝ってしまうところが何よりも面白い作品だと思います。
最近のミステリーは特殊設定系など凝った作品も増えていますが、難しい設定は特になく、シンプルに読者を騙す今作のようなスタイルのミステリーがやっぱり私は好きだと改めて思いました。
時代に合わせたネタを取り入れた今作の続編的な作品が出るようなら読んでみたいですね。
いつも記事など読んで頂きありがとうございます。日々励みとなっています。もっと面白いネタを収穫したいので、良かったらサポートもお願いします(^^)