第152回:名作の「もしも」を見せてくれる物語(すかいふぁーむ:『転生ロミオとジュリエット』)
こんにちは、あみのです!
今回の本は、すかいふぁーむさんのライト文芸作品『転生ロミオとジュリエット』(ハルキ文庫)です。
今作は、古今東西の名作に異世界転生要素を追加したハルキ文庫の新シリーズからの1冊です。流行りのジャンルで名作の内容に触れられるというコンセプトが最高ですね。
他にも現時点では『マクベス』と『オズの魔法使い』がラインナップに入っていましたが、恋愛小説が好きな私はまず今作を選んでみました。(カバーが好きだったのもありますが笑)
異世界転生が好きな人はもちろん、名作の面白さを知る入り口にもなる1冊です!
あらすじ
感想
シェイクスピア作品の中で最も有名と言っても過言ではない『ロミオとジュリエット』。上記の結末は現代でも様々な作品でオマージュが見られますが、どのような過程でこの結末に至ったのかはよく知りませんでした。
今作は正直原作の流れをなんとなくでも掴んでおかないと楽しみにくいかと思います。私もWikipediaを見ながら今作を読んでました笑。
事故死した樹里が転生したのは、『ロミオとジュリエット』の世界。「ジュリエット」として新たな人生を始めた彼女は、幼なじみで片想い相手の富雄に再会します。富雄との再会に喜ぶ樹里ですが、彼は「ロミオ」としてこの世界に転生していたことが判明します。
本当は両想いだった樹里と富雄だけど、原作でロミオとジュリエットを襲った悲劇はおそらく2人にも訪れる。2人はハッピーエンドを目指して、物語の内容を大きく変えることを計画します。
樹里たちが予想もしていなかった人物との再会、悲劇の原因となった出来事からの回避。今作はただ単にハッピーエンドを目指す物語なのではなく、「転生」という要素を活かした今作ならではの展開も用意されていました。
前半は原作の流れに沿っていた印象でしたが、後半はコメディ色が強くなり、この作品らしさがよく出ていたと思います。恋愛あり、少年漫画のような胸が熱くなるバトルシーンありと、名作の新たな面白さと出会えた1冊でした!
これまで世界中の人々が触れてきた物語だからこそ、「もしも」の結末が見たくなる。この世に悲劇があることは悪いことではないけど、それでもハッピーエンドを求めてしまう人は多いと思います。『転生ロミオとジュリエット』は、そのような読者の願いを叶えてくれる物語だと思いました。
これからもハルキ文庫から名作の転生版がいろいろ出るみたいなので、面白そうなのがあったら他作品も読んでみようと思います!