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大学で人文学・社会学を学んでいます

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最近の記事

そのときの風の

(エッセイ) 文学部の文芸誌に寄稿したエッセイに加筆修正をしたものです。 長い夏休みの最後の方をパリで過ごした。 その期間に知り合ったある人の話をしようと思う。その人はこれからファッションデザインの修士課程に入学するという中国人で、初めて二人で会う日、待ち合わせ場所にYOHJI YAMAMOTOの黒いシャツを着て現れた。背が高く、形のいいシャツと形のいいパンツを履いた、とてもかっこいい感じの人だった。私が「母が中国人なのでいくらか中国語を話せる」ということを英語で伝えると

    • 手放すことで満ちるものはなに

      (エッセイ) 初めてこの曲を聴いたのはちょうど二ヶ月前だった。 その晩、一日中降り続いた三月の雨は飽きることなく街を洗いつづけており、街角のカフェの橙色の明かりが大きな窓から漏れ出でて、濡れたアスファルトを照らしている。 私はそれをぼうっと眺めながらカフェでだらだらブラウジングをしていたのだが、仲のいい先輩が今度好きな人と観に行くという映画について見ていたら予告編がとても良いので主題歌をフルで聴いてみたくなり、「へー藤井風の新曲なんだー」と何の気なしに再生ボタンを押した、と

      • エターナル

        [エッセイ] 夏休みの最後に友だちと宮古島に行った思い出について書きました。

        • まだ知らない言葉の美しさに出会いたい?

          (ある1日の記録) 『キッチン』は私にとって大切な本。 ものがたりや、文芸を好きになるきっかけをくれた本だから。 高校2年生の冬、当時読書にはまって図書館に通い詰めていた私に、中一からの大親友が図書館までついてきてくれておすすめしてくれたのが出会いだった。 こんなに短い文章でも、こんなに軽やかで易しい言葉でも、こんなに切なくて奥行きのある物語を紡いで、誰かを深いところから救うことができるのか。 そのことが私にとっては衝撃で、以来、旅先やなんてことない日や節目節目で読み返し

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        • エッセイ
          6本

        記事

          「君たちはどう生きるか」感想、今の日本に対して思うこと

          祇園祭が開催された三連休の京都は、信じられない暑さだった。最高気温は37°を超え、映画館に行く途中に上裸で歩く少年を見かけた。 そんな7月、うだるような暑さの午後に、宮崎駿監督最新作の「君たちはどう生きるか」を観に行った。 私が観た回は満席。 7年もの歳月をかけて制作され、宮崎駿が引退宣言を撤回してまで世の中に届けたかった作品を、今から観ることが出来るのだ。 そんな大きな興奮にひとたび包まれると、予告編の時間はとてもじれったくなる。薄暗い館内の座席に身を沈めて、本編が始まる

          「君たちはどう生きるか」感想、今の日本に対して思うこと

          永遠に私にとっての青春そのもの、「時をかける少女」

          7月13日はナイスの日。「時をかける少女」の再上映へ行った。 テレビやパソコンでしか観たことのなかった作品を映画館の大きいスクリーンで満席の観客と一緒に観ることは、不思議で、新鮮で、心躍る感覚だった。 まず、これまで私にとってこの作品がどういう作品だったのか書きたいと思う。 私は金曜ロードショーを毎週見るくらいテレビをよく見る(というか、見させてくれる)家で育ったから、「時をかける少女」は、初めて観た中学一年生のころから自分でレンタルして観た回数も合わせると、4,5回は絶

          永遠に私にとっての青春そのもの、「時をかける少女」

          窓の外の朝焼け(2023.3.31)

          2回生最後の日の夜、あともう少しでやってくる朝を思い浮かべながら、書きました。1ページしかない、とても短いエッセイです。

          窓の外の朝焼け(2023.3.31)

          カネコアヤノの大阪野音ライブに行った話

          7月23日に、大阪城野外音楽堂で行われたカネコアヤノのワンマンショーに行ってきた。彼女のライブに行くのは初めてだった。 私はカネコアヤノのことを知ってまだ2年くらいだし、全部の曲を遡って聴いたことがあってイントロや歌詞を全部覚えてるとかでも熱烈なファンとかでもないけど、好きな曲がいっぱいあって、それらは飽きることなくいっぱいいっぱい聴く。 特に「タオルケットは穏やかな」がリリースされてからの半年は毎日のように聴いていた。 だから野外ライブをやるというのを知って、夏だしライブ行

          カネコアヤノの大阪野音ライブに行った話

          プロフィール

          (2024年3月更新) 2002年生まれ 神奈川県出身 都会の海を見て育ちました。 京都大学文学部在学中 文学部では社会学専修で、特に人種・エスニシティ、ジェンダーやフェミニズムに関心があります。 2024年からヨーロッパに留学し、フランス語や美術史を学んでいます。 小説・詩歌などの文芸だけでなく、音楽、写真、アート、映画も好きです。多趣味なのが自分の良いところだと思っています。 書くのは好きですが、もっと上手くなりたくてnoteを始めました。長く、書き続ける生活がで

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