夏休みの宿題は今やればいいのではと思う
学校が休校で外出も控えめにモードになって、コミックや学習参考書などが無料で配信されるのはとても良いことだと思います。塾のオンライン配信もあり、YouTubeもありテレビもあり、多分コンテンツは十分すぎるボリュームなんだけど、たぶんそろそろ飽きや疲れみたいなものが出てきそうな気がします。
むしろ夏休みの宿題のボス級である「読書感想文」とか「自由研究」は、今のうちに課題にしちゃった方が良いのではないかと。無料で学べるコンテンツもあるし、家庭でできる実験とか工作とかは在宅しているご家族のサポートも受けられそうだし。今、この時期の状況をテーマに学生目線のレポートをまとめても良いと思います。
そして本を読む時間もたっぷりあるし、読書感想文なら今書いてもいいと思うので(すでにやってる人もいそうだけど)、学校行けない間だからこそ、学園ものや少年少女たちの物語を読むのもいいのかなと。
ブロードキャスト
湊かなえさんの本の中では、毒っぽさが少ない、珍しい学園青春小説。との感想も多いですが、それでも高校生の心の葛藤、妬み、青臭さなど人間らしさはちゃんと描かれていて、ただの爽やかな話ではないです。そしてミステリー(謎解き)的な要素も仕込まれていて、物語としてもとても面白いです。
つぼみ
まだ何者でもない、何者になるのかもわからない、わたしの、あなたの、世界のはじまり。
『スコーレNo.4』の女たちはひたむきに花と向き合う。
凛として、たおやかに、6つのこれからの物語。
6編の中でも「まだまだ、」と「なつかしいひと」の二つがとてもよかったです。ともに主人公が中学生で、これから花ひらく前の、まさに「つぼみ」のような姿で自分の周囲の環境に悩んで、対峙して、前に進もうとする姿が印象的でした。
八月のひかり
八月、夏休み。五年生の美貴は、働くお母さんのかわりに料理や洗たくをして、毎日を家ですごしていた。美貴には、夏休みに遊ぶような仲良しの友達はいない。学校でも、だれとも友達になりたくないと思っていた。それには理由があって...。現代の子どもを取り巻く問題と、子ども自身の繊細な気持ちを深く描き出した、傑作児童文学。
「貧困」と言ってもどこまで身近に感じることができるだろう。給食のない夏休み。水、電気、を気にしながらの生活。日々どう乗り越えるのか。重いテーマの中で、質素で限りある食材でも工夫する場面、母親の素朴な優しさ、弟の明るさがあります。ただ、それだけで、どこかに実在するかもしれないその家族が救われるかと言えば、現実的にはそうではないと思います。当たり前が当たり前ではないことがあることを、どう受け止めて生きるか、それが問われている本です。