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本を読みたい・読んで欲しいという気持ちが溢れている本。
こんにちは、天音です。
今日の読書感想は福井県立図書館『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(講談社)です。
SNSで話題になったこともあり、知っている方も多い本ではないでしょうか。
本書の内容はタイトル通り、「福井県立図書館で実際に利用者から寄せられた、タイトルの覚え違いまとめ」です。
図書館にはレファレンスサービスというものがあります。
レファレンスサービスとは、
司書さんが図書館の資料等を用いて、利用者の調査や研究を手伝ってくれるというやたら親切なサービス。
わたしが実体験として使ったことがないので詳しく話せませんが、この本を読めば、司書さんの利用者と本に向き合う真摯な態度を垣間見ることができるでしょう。
そんなうろ覚えの状態で聞く?というあやふやなタイトルを引っ提げてレファレンスカウンターへ行っても、目的の本にたどりつくことのできる司書さんの引き出しの多さたるや。
最初は「あはは!変な覚え方!」と笑って読んでいたんです。
しかしヒントを繋ぎ合わせて答えに行き着く司書さんの検索能力に、読み終わる頃には畏敬の念すら抱いていました。
普段本は自室で引きこもって読むんですが、この本は堅苦しい本ではなかったのでリビングで読んでたんです。
ちょうど通りかかった家族に間違いタイトルから本当のタイトルがわかるかクイズみたいに聞いたりもして、いつもと違った楽しみもできた本でした。
・そのへんの石
・昔からあるハムスターみたいな本
・これこれちこうよれ
……皆さん、なんの本かわかりますか?
気になった方はぜひ、この本を手に取ってみてください。
福井県立図書館のホームページでも「覚え違いタイトル一覧」をみることができますよ。
間違いと正解は見ることができるんですが、本には司書さんのツッコミというか、解説が載っていてもっとくすりと笑えるようになっています。
ページを捲る前に、本当はなんていうタイトルなんだろうと考えながら読むのは楽しかったです。
読んだことがある本も知らない本も、この本でタイトルを知ったことによりなんだか友達になった気持ちになりました。
わたしが一番衝撃的だったのは、「男の子の名前で『なんとかのカバン』って本あるかしら?」です。
正解は『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』らしいですよ。
個人的には「囚人」のインパクトの方が強いと思うんですが……。
まあどこを覚えてるかは人それぞれですね。
基本的にうふふと笑えたんですが、なんというか、ある意味気になる秀逸な覚え間違いもありました。
「今年の本屋大賞を取った人が書いた『滅びた後のシンデレラ』はどこにありますか」という質問があったそうです。(61)
話題になった本なので、わかる人も多いでしょう。
正解は『滅びの前のシャングリラ』です。
正直読んでみたいですよね。
『滅びた後のシンデレラ』……。
ネズミの巣食う廃墟となった城で、割れたガラスの靴履いてダンスしてるのかな……。
あと、笑いながら読んでいたのですが、間違いを見ていると知っているはずの本当のタイトルがわからなくなることもあって少し困りました。
例えば。
カズキ・イシダの『わたしを探さないで』。
…………。あれ、わたしをなんだったっけ。
離さないでであってるよね……?!
みたいな。
タイトルにもなっている『100万回死んだねこ』。
恥ずかしながら何が間違ってるのか分からずに検索しました。
よく考えたら、子供向けの絵本なのに「死」なんていうマイナスな言葉をタイトルにしませんよね。
『100万回生きたねこ』です。
お間違えないようご注意ください。
この本を読んでると、本当によく人に尋ねられるなあと思うようなあやふやなタイトルが登場します。
しかもたくさん。
しかしそれは、「この本を読みたい」という気持ちの表れに他なりません。
そんな利用者の欲求に、真摯に応えてくれている司書さんの態度と能力。
解説部分もとても素敵でしたね。
改めて、図書館や本が好きだと感じました。
この本を読みたい。
その本を読んで欲しい。
両者のそんな純粋な気持ちに触れることができた気がします。
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