あまね@ SM短編

「あなたの性癖、ぶっ刺したい」 ■Twitter:https://twitter.com/amanegaanone

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マガジン

  • 「その先」

    キャバクラで働くレナのもとに現れたのは、薬指の無いアサクラという男だった。 年齢も、住む世界も違う二人がたどり着いたゴールとは。 全28話

  • 僕のちんこにピアス開けてください

    「僕のちんこにピアス開けてください」 貴女に出会い、気付いた運命。 絶対に離さない。 全11話

  • 何も知らない

    生きる意味を見い出せず、自暴自棄に生きる斗真と出会ったのは、売り専で買ってくれた客のアオイだった。「お酒飲もうよ!」アオイの温かさ、美しさ、儚さを知った斗真は一気に惹かれていく… 何も知らない。僕もアオイさんも何もかも。 今も、これからも、あの時も。 ――― 全七話の短編です。

最近の記事

「犬でも豚でもない、人でもないあなた」

例えばあなたの美しいお顔に、砂糖をたっぷり使った安っぽい生クリームを塗りたくったら。 「ちょっと、だめだよ」と迫る私の両手を取り押さえようとするけど、油分で滑り、もみくちゃになった私たちは二人してクリームまみれになるだろう。ヘトヘトになり座り込んだ床の上、狂ったかと怯える彼に甘ったるいキスをする。 例えばあなたの白い手に縄をかけて、身を捩ってもしゃがみこめないよう吊るしたら。 逃げられないあなたに近づき「騒ぐなよ」と一言。まだ綺麗な身体の隅々まで暴行で彩り、一層美しくなって

    • 「嘔吐恐怖」4

      「…もしかしてゲロが苦手なの?」 「そ、そりゃあ誰でも嫌ですよ」 ゲロ。文字で見るのも身の毛がよだつ言葉。久しぶりに耳にした。とてつもない衝撃。思わず考える前に言葉が飛び出した。心臓が痛い。 平然を装う僕の頭の中は、最悪の自体を想像することで自分を守り始める。 「あーそういうことか。まぁキレイなもんじゃないしね。それでお酒も飲まないってこと? 吐くかもしれないから?」 「…まぁ、そうですね。だから可能性は全て潰してきました」 「…はーん、なるほど」 僕は一体どう思われて

      • 「嘔吐恐怖」3

        「あの、実は僕…」 僕は酒の臭い漂うこの空気に酔ってしまったのだろうか。今日初めて出会った女性に、物心がついた時から抱える“嘔吐恐怖”について話してみようと思うなんて。しかしそんな気の迷いも一瞬にして打ち消されるほど、明らかに具合の悪そうな女子が僕たちの元へ助けを求めに来た。 「うぅ…恵那やばい気持ち悪い、一回吐きたい…」 「吐けない? トイレ行く?」 恵那と呼ばれていた彼女は、項垂れる女性が小さく頷いたのを確認すると、彼女の身体を支えながら部屋を出ていった。 残された

        • 「嘔吐恐怖」2

          「あれ、飲めない系?」 それが僕に掛けられた言葉なのか、瞬時に判断がつかなかった。時間差で顔を上げると、斜め前に座っていた茶髪の女子が心配そうにこちらを覗いている。目が合い、自分に言われているのだと理解した。 「え、あ…ちょっと飲んだことなくて」 途端に周囲の音が僕の世界に蘇ってきた。貸し切った室内、言われるがまま何杯も連続で一気飲みをする男子や、それを見て盛り上がる先輩たち。僕が飲んでないことなど、彼女以外は誰も気に留めてなかった。 「えーじゃあなんでこのサークル入

        マガジン

        • 「その先」
          28本
        • 僕のちんこにピアス開けてください
          11本
        • 何も知らない
          7本

        記事

          「嘔吐恐怖」1

          「そんな汚いもん、早く捨ててきな」 幼いながら、店内を汚してはいけないと咄嗟に両手の中へ吐き出した息子の吐瀉物を見て、母はそう言い捨てた。 僕は、小さな手の中に溜まった汚物を溢さないよう、一歩ずつ慎重に進み、店のトイレへ向かった。廊下を挟むようにして座っていた大人たちは怪訝そうな表情で、ヒソヒソと何かを話しながら僕の行動を見張った。両手にたっぷり注がれた温かい吐瀉物。もちろん、小さな子供の指の隙間からは歩く度にボト、ボト、と溢れて落ちた。僕が歩いた道を示すように点々と残る汚

          「嘔吐恐怖」1

          「経血」

          遅番。 「すみません、御手洗って貸していただけますか?」 ここら辺のコンビニでトイレを貸し出してるのはうちだけ。 「はい、どうぞ」 綺麗な人。切羽詰まっている顔をしていた。 良かったね、うちが貸し出してて。 しばらく経ってトイレから女性が出てきた。 彼女はそのまま店を出るでもなく、商品棚を物色しはじめた。 目ぼしいものを見つけたのか、両手に商品を持ち、並んだのは僕のレジだった。 ピッ 彼女が差し出したものは、生理用ナプキンとタンポンだった。 「…紙袋にお入れし

          「似ている男」

          よく行くバーの店員が、“あの人”に似ていた。 背格好も、来ている洋服の雰囲気も。 愛想がいいわりに目を合わさないところや、人にあまり興味がなさそうなところまで。 その日は客が私だけだった。 外から人がいない店内を見た瞬間引き返そうかと思ったが、カウンターに立っていた彼と目が合ってしまう。 「いらっしゃいませ」 「あぁ、うん」 帰ろうとしていたズルさを隠すように勢いよくドアを開けると、いつもの席まで迷わず進みカウンターに腰を下ろした。 よりによって今日は彼の日だった。私を

          「似ている男」

          「Hypoxyphilia」

          少し顎を上げる。目線はあなたの瞳。優しい人。 美しい指先が、私の首を掴む。モノのように、確実に。 力が込められ、思わず目を閉じてしまう。 見ていたいのに、無駄にできる瞬間なんてないのに。 こめかみが張り詰める。脳が破裂しそうな圧迫感。 緊急事態は誤報となり、たちまち幸福へと導かれる。 快感が押し寄せ、多幸感は最高潮。 ここまでは知っている。自分ではここまで。 その先に触れたくても、望んではいけない。 あぁもうだめだ、なんて思わない。 愛しいその手が、力強く私を引き上げる。 「

          「外野は黙ってろ」

          「あたしね、週に一度だけ家を出て、美味しいものをたくさん食べて、夜はこうして少しお酒を飲むの。それが楽しみなのよ」 彼女は自分の焼酎に小さく口をつけグラスを置くと、少女のような笑顔で話し始めた。 「今日はね、中華行ってきたのよ。そこね森伊蔵が置いてあるの。もう最っ高に美味しかったぁ~やっぱり一級品よね。一杯飲むだけで高いんだけどさ、ちびちび大事に飲んだわよ。あと餃子とね、レバニラと。ラーメンはあんまり良くないね、あそこは森伊蔵と餃子!あとレバニラ!」 彼女はおそらく七~

          「外野は黙ってろ」

          「代わりのない性玩具」

          私を誘ったあなた。 あの時の姿は、もうない。 回数を重ねる毎にエスカレーションする私たちの行為は、あなたを人ではないモノへと堕とした。 私を抱き寄せた大きな手は、今じゃ私を悦ばせる道具のひとつでしかなくなった。 追いかけるように絡めた舌は、私の体液を一滴残さず味わうために機能する。 熱く見つめたその目は、今じゃ私の何を見てるかわからない。 こうして時々寂しさが私の心をざわつかせる。 もうあの人はいないんだって、痛いほど理解できるから。 私を満足させるための玩具として使

          「代わりのない性玩具」

          「射精管理」

          貞操具をつけた彼は可愛い。きっとそんな素振り少しも見せずにきっちり仕事をこなしてるのよ。あの真面目な性格だからね。会社の人たちは、彼が股間にそんな卑猥なものをはめてるなんて一ミリも思わないでしょうね。そんな面白味のある人間だなんて、誰も想像できないよ。でもそれでいい。私以外知る必要なんてないもの。 午後八時。帰宅した彼は洗面所へ直行し、うがい手洗いを済ませる。そのまま身につけていた衣服は全て脱ぎ全裸になると、先に飲み始めていた私の前に現れるの。床に両手、額をつけたまま「ただ

          「黙って声聞いてて」

          もう限界だった。 『今電話できる?』 『できますよ』 ――― 「もしもし? どうしたんですか?」 「今から一人でするから、黙って聞いてて」 「え? あまねさん?」 「いいから、すぐ終わる」 携帯を耳に当てたまま、右手を下着の中に滑り込ませる。帰宅しそのままベッドへ直行した私の手は、氷のように冷たかった。 「…あまねさん」 「ん…黙って」 「はい…」 服の上から撫でることもなく、好きでもない乳首で焦らすこともなく。最初からクリトリスに触れた私の性器は、既に十分すぎる

          「黙って声聞いてて」

          「誕生日の贈り物」

          愛しい彼女は、毎年僕の誕生日になると欠かさずプレゼントをくれる。とても、優しい人なんだ。 初めての誕生日は通勤バッグだった。 「あなたのカバンすごく古いから、新しいのにしなさいよ」と言って、古いカバンを捨て、代わりに黒い本革のカバンを送ってくれた。 次の誕生日には、靴を送ってくれた。 「男は足元をちゃんとしないと、今履いてるものはあなたに似合わないよ」と言って、靴箱にある大量の靴は全て処分をしていた。代わりに新品の靴を三足。案外それだけあれば十分で、何一つ不便なく、むしろ

          「誕生日の贈り物」

          「僕の妻」

          寝室に入ると、僕の妻が片尻を出して寝ていた。 二人用のベッドの端、壁側を向き横になる妻の短パンの片方がめくれ上がっていた。薄暗い部屋に浮かび上がる白い柔肌。真ん丸な形を際立たせるTバック。今すぐ僕のこの指で突つきたい衝動に駆られるが、寝ている妻を起こすなんてご法度。彼女の安らかな寝息を乱さぬよう、息を止めベッドに上がり、僕の定位置で横になった。 月明かりがぼんやりと照らす室内。僕のすぐ横で眠る妻の可愛いお尻が視界に入る。ついさっきまで感じていた眠気はすっかり消え去った。この

          「セックスはいいや」

          今日、彼氏だった人とのセックスを拒否した。 もうずっと嫌だった。 お決まりの流れで進む愛撫。ほどなくして“舐めて”の合図。濡れる前に告げられる『あ、イく』。 今夜もいつものように帰りの車内で「今日泊まれる?」と聞かれ、私は「セックスしたくないから帰ります」と答えた。気持ちの悪い静かな口論。おかげさまで別れることになりました。 一人での帰り道。今夜は風が気持ちよかった。 コンビニで缶ビールを買い、飲みながら歩いた。 途中に居酒屋はあるものの、私は早く家に帰りたかった。 「…

          「セックスはいいや」

          「ダイヤのピアス」

          閉店後の店内。ボリュームが絞られたBGM。ボックス席のライトは消され、私とマスターがいるカウンター席だけが明るく照らされた。 ワイシャツの袖を捲くり洗い物を片付けるマスター。あんなに忙しかったのに、ジェルで固められた髪型は少しも崩れず、隙を見せない穏やかな表情からは、少しも疲れを感じさせない。その様子を眺めながら、私は少しばかり不貞腐れていた。 営業中、カウンターの端に一人で来ていた女性客。一見地味なように見えるが、控えめに身につけたアクセサリーは洗練されていて、下ろし立て

          「ダイヤのピアス」