チョコちゃ チョコしろ
チョコレートに呼ばれた気がして
わたしは うれしくなった
その日は 朝から 小雨が降っていて
嫌なこと 例えば
目玉焼きが 上手くできなかったとか
折りたたみ傘を 上手に
たためなかったとか
買おうと思っていた本が
どこでも見つからなかったとか
そういった 言ってしまうと
ささいなことが かさなって
確かに ひとつひとつのことは
小さなことだったんだけど
いくつも となると
今日という日は
わたしのための日では
なかったなあ
なんて 思わなくもなかった
わたしを呼んだチョコレートは
似たような五粒の子たちで
そのうちのひとつは 真っ白だった
真っ白なチョコレートは
四番目に食べられることを希望した
わたしは 真っ白なチョコレートの
希望どおりにした
チョコレートと一緒に
紅茶を飲んだ
砂糖は 入れなかった
最後のチョコレートは
さびしそうにしていた
わたしも ちょっぴり
さびしくなった