読了『キッズライクアス』
子どもの頃、あれほど本の虫と言われていた私は、最近、最後まで読めず、読みかけの本ばかりが増えていく。
並行して読んではいるのだけれど、あちこち読みかけばかり。
昔はこんなこと、なかった。どんな本でも、ササっと読み終えていたのに。
途切れ途切れ、なんだか自分が随分、中途半端な人間のようにも思えたり。
でもそんなの当たり前で、子どもを産む前までは、誰にも邪魔されずに思いっきり本を読める時間、しかなかった。
けれども、いや、もはや、子どもは理由になんて、ならない。
完読できないことに、小さくがっかりする。
それがこの『キッズライクアス』は、本の世界にふわーーっと入っていって、そして読み終えた。
な、ん、な、ん、だ。この清涼感。
フランスの田舎町でひと夏を過ごしたあとのよう、私が。
本ってこうだよね。
林真紀さんによる訳者あとがきで、『本は情報を集めるためのものでしかなかった』けれど、『本を楽しんで読むという感覚を久しぶりに味わった』とあった。
そうだ。私も、このころ、そんな情報収集目的の読書ばかりしていた。
あっという間に誰かになりきって、あっという間にその世界に没入して、喜んだり悲しんだり・・・読書がそんな体験だって、すっかり忘れていた。
この本はどんな感じ?と聞かれれば、それは、まさにこの装丁・装画のままのイメージ。すぅっとこの世界へ入っていけます。
自閉症スペクトラム障害の高校生マーティンの恋や葛藤が描かれています。
帯に 「普通」とは何か?
自閉症は治すべきものなのか。
とあります。さらに
なぜ自分に「普通の友達」ができると、母親が喜ぶのか。果たして自分は一体何者なのか。
と。
『キッズライクアス』サウザンブックス社の本です。
著 ヒラリーレイル氏
訳 林真紀氏
オススメです。