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転職市場|贅沢な建物

建築設計者を志したら、
ホテル設計に関わりたい
皆、思うであろう。

非日常に浸り
贅沢な気持ちになる
幸福な時間。
美しいロビー、
華麗な宴会場
緑溢れる露天風呂、、。

客にそのように想わせ、
お金を落としてもらうには
美しく豪華なインテリアと外観デザインの実現
重要である。

でもホテルの設計は
自由度が高そうで
自由がない
のである。

言い換えると
お金が無いのに
お金をかけたように

見せなければいけない命題がある。

客単価を上げても、
出費するのは一般客だから、
総額はしれている。

人件費もかかるし、設備費用も
メンテナンス費用も修繕費用も
ホテルにはかなり重い出費である。
補助金など当然もらえないし、
宗教施設のように寄付もない。

お金か無いので、
ホテルは長期修繕計画を立てて、
毎年少しずつ工事をする。
お客様ゾーンが最優先だが、
設備修繕費用の方がコストはかかる。

こうして、なけなしのお金をやりくりして
内外装をデザインする。

意外とみみっちいのだ。

それだけではない。
安くて飽きない材料を日夜探し、なんとか設計しても、
発注者のホテル側はすぐにはOKしない

デザインが客の好みを左右し、
収入に直結する
からである。

私はホテルの1階ロビーを設計するのに
200案プレゼンしたことがある。
どうやっても設計料は赤字である

発注者側もしかり、実態はお互いに自由はない。

設計料が黒字になるのは、
難しい建築を設計する場合である。

半導体工場や製薬工場、食品工場などである。
目に見えない細菌やナノテクを扱う施設である

ハードなクリーン環境を創出しないといけないので、
神経を使う。
虫もホコリも静電気もNGである。
建築というより、いわばシェルターなのだ。

こういう何が起こるかわからない建物には、
安全側に、、安全側に、、とモノが採択され
結果、
たくさんの予算がつく

美的デザインは求められていないが、
快適性や安全性など
建物に求められている性能は高い。

本当に贅沢な建物と言える。

収益は高く、難度も高く、設計者冥利に尽きると言える。
(褒めてくれるのは技術者界隈だけであるケド)

でもどちらも
設計がたいへん過ぎるので
若い時で充分。
50代過ぎたら卒業したい。

高い年収を目指すひとは
ナノテク産業の求人を探すといいですよ。

今日はここまで。


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