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詩的散文

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私の書く文章に、主人公は必要ない
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#詩的散文

コウモリ

コウモリ

夕方の6時、まだ夏を迎えていないこの時期は、すっかり薄暗い空へと模様替えをしてしまう。

なんとなく街からは活発さが抜け、家の電気と街灯が夕暮れと共存している。いっそのこと夜の方が安心できそうな、不気味な時間だ。

日が暮れる速度に、僕たちの目の明暗順応力は追いつけず、視覚を酔わされたような空気が漂う。

遠くを歩く人影が二重にも見える。歩む道は、夢の中の質感にも似た不確かさを兼ねている。

空を

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蒼翠の神殿



一つの意識が、蒼空の下で、大気中に放たれ霧散する、

それは、風の斥力で前進し、定まった路の上に、

偶然持ち合わせていた、二本の足を、器用に着地させる。

意識は、蒼の天蓋を司る、パルテノン神殿の、

無限の柱廊を、天の白い眼差しに睨まれて、

何処へともなく、連行される。

神殿を支える、植物じみたエンタシス(柱)は、

柱頭部が枝分かれし、緑の大きな装飾によって、

意識を、白日の下から

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恋の追憶(- 腫瘍)

それは、禁煙中のタバコのように、

それは、ネット中毒者が持つスマホのように、

それは、心が弱った時に聴くロックのように、

僕の片足を拘束している。

あの人の、抱きかかえた猫のように柔らかい肌と、

春の日差しに晒された砂ほどの体温に、

もう一度、もう一度だけ、包まれたいと願う。

それが叶わないので僕は、不思議な色をした、

明らかに毒々しい綿(わた)の思い出に、身を任せてしまうのだ。

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