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読書履歴 〜椰月美智子 みかんファミリー〜

この本の季節の描写が好き。
今、ここで生きている。「この星の上の私」を感じる、中学生の春夏秋冬。

中学生って、もっと自己中で、周りと比べてばっかりでないものねだり、イカガワシイこともいっぱい考えているけったいな生き物だと思う。例えば、村田沙耶香の『しろいろの街の、その骨の体温の』で描かれる思春期は分かりすぎた。
この物語の中学生たちは、とっても良い子。でも、当たり前に抱えてる悲しみや寂しさもある。

家族って何ですかね?
守り守られ許し許され、一緒に歴史を刻んでいく。
いい時も悪い時も。

私はこんな家族愛のある中学生ではなかったけど、それは一方的に守られる側に徹していたために、見えなかったものが多かったのかも知れない。まぁ子どもなんてそんなものだけど、美琴の思いやりの深さは、私も見習いたいと思いました。(もういい大人だけど。)

おばあちゃんのくだりは、現実の娘と自分の母の関係がオーバーラップして、涙止まらず。(娘はおばあちゃんが大好き。)娘が小学生の時によく椰月美智子作品を借りてきてあげたけど、これを彼女に読ませるのは、たとえ大学生になった今でも酷だなぁと思うくらい、お別れがリアルで悲しい。

でも椰月さんの描く子どもは、健やかにたくましいのだ。愛しい人との歴史は消えないまま、新しい日々を歩いて行く。そしてきっとこの先も、愛しいが増えていく。季節の風とともに。


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