あっきー★らっきー

新宿二丁目のゲイミックスバー「A Day In The LIfe」の水曜日スタッフです。二丁目文芸部もやってます。新宿区新宿2-13-16 藤井ビル203

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新宿二丁目のゲイミックスバー「A Day In The LIfe」の水曜日スタッフです。二丁目文芸部もやってます。新宿区新宿2-13-16 藤井ビル203

マガジン

最近の記事

「ビリガマ」はどの辺りがビリなのか

 「ビリガマ」というタイトルで想起されるのは、やっぱり「ビリギャル」ですかね。確かヤンキー校の生徒が猛勉強して、一流大学に合格するまでの話だった。映画にもなっていたし、「努力すれば叶わない夢なんてないんだ」というメッセージをもってヒットしたんじゃなかったか。  では、青井こうきさんの新刊コミック「ビリガマ 高卒に厳しくなってきたゲイ社会をたくましく生きる店子の日常」(ポット出版プラス)では、どんなサクセスストーリーが語られるんだろう。タイトルから勝手に内容を決めつけて読み始

    • 新宿二丁目ひとりぼっち

       会社勤めだった時に、オフィスの空いている会議室を予約して、ひとりで作業をしていたことがある。そこで私は、小説雑誌に掲載する記事をまとめていた。担当していた見目麗しい作家と、いわゆる大家と呼ばれる作家の対談。これはライターに任せてもいい仕事だったのだが、思い入れの深い作家だったために、また自分も熱量が高い年齢だったために、あえて手間のかかるほうを選んでいた。  本来ならどこかの編集部が集まって、打ち合わせに使うような部屋。ここを勝手に独占している。「でも面白い内容にしてやる

      • あっきー★らっきー7周年!

         この新宿二丁目の仕事、長く続くとは思っていませんでした。バカ話で人を笑わせるタイプではないし、どちらかと言えば人見知りのほう。これまで二丁目ではさまざまな「プロ」を見てきただけに、あんなふうに酒場の中にいることなんて自分は適さない。むしろ、いつでも辞められるようにしておこう。二丁目の奥深くまで踏み込んでしまったら、そこから足を引き抜く時に切り傷を負うに違いない。酒に酔った人々による言葉に、いずれはきっと耐えられなくなるはずだ。そう思っていました。  やはり一番の悩みどころ

        • 新宿二丁目から発信する文芸誌「或ル日」、10の読みどころ

           新宿二丁目をテーマにした文芸雑誌、「或ル日」の最新号が完成しました。今回は「艶めく」をキーワードに、新宿二丁目とその周辺を読み解いていきます。  芥川賞作家の藤野千夜さんのインタビューやヒキタクニオさんの短編など、プロとアマの境を超えた作家による豪華ラインナップになりました。  この街に根差した「二丁目文学」を追求する二丁目文芸部の「或ル日」編集担当が伝えたい、10の読みどころをご紹介いたします。 【その1】藤野千夜インタビュー「この本が『そこにいていい』と伝えてくれた」

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        • 【日記】あっきー★らっきー水曜日
          10本
        • 【サークル】二丁目文芸部
          7本

        記事

          新宿二丁目同人誌の全貌とは?

           見切り発車のように動き出した同人誌プロジェクトですが、どんな本を作るのか、ここで目標を確認したいと思います。 ・二丁目文芸部のイントロとしてのパイロット版 ・何が何でも作り上げる ・創作や即売会イベントを楽しむ  改めまして、新宿二丁目から発信する二丁目文芸部は、この二つとない飲み屋街の特徴を活かして、創作をしています。いろいろな境を越えた人々がひと晩だけ集まり、朝には消えていく。そんな刹那を繰り返して存在している新宿二丁目のカタチを切り取って、繋げていこう。そんな野望

          新宿二丁目同人誌の全貌とは?

          締切を設定します!

           編集者の役割のひとつに、「締切を設ける」があります。特に、雑誌などの定期刊行物においては文章やイラストなどを発注する必要が常にあり、締切の設定は最重要のミッションかもしれません。当然、「原稿、入らなかったわね」では済まされません。印刷して製本する工程から逆算して、なるべく余裕を持った進行にて、締切は設定されるべきです。出版に限らず自明なことですが、お仕事には納期というものがございまして、それに間に合うよう成果物を提出することが、大人というものです。  とはいえ、牧歌的な佇

          締切を設定します!

          コミティアに参加します!

           二丁目文芸部は、9月4日(日)に開催される同人誌の即売会、COMITIAに参加することになりました! 同人誌のイベントというと、いわゆるコミックマーケット(コミケ)が思い浮かぶところですが、このCOMITIAも、3000を超えるサークルが参加するそうで、東京ビッグサイトが会場となり、ホールをいくつも使用して開催されるとのことです。そんな大舞台において、新宿二丁目から生まれたものにどんな反応があるのでしょうか。ちょっと想像ができないんですが、楽しみでもあります。  COMI

          コミティアに参加します!

          やっぱり二丁目は最強でした!

           カウンターの中に落としたものを拾って、立ち上がる際に背中を強打する。後ろにあるものは、ぎっちり並べられた鏡月ボトルの列。ゆえに、瓶の尖っているほうの殺傷能力はすさまじい。また衝撃を受けたガラスの集合体が店内に響き渡らせる音はATM強盗くらい激しく、「よく割れなかったな」と痛さにうずくまりながら思うのであります。  これ、酔っていたり、調子が悪い時などに起こる現象です。自分の車幅感覚を見失うんですかね。変わった形状のアデイのカウンターですから、あちこちぶつかったり、物を落と

          やっぱり二丁目は最強でした!

          水曜アデイ4周年の機に

           水曜アデイの周年と誕生日が同時にやってくる、記念となる5月です。おかげさまで、アデイの一端を担当してから、4周年となりました。多くのお客様や二丁目の方々にも支えられて、大きくつまずくこともなく、今日までこれたことに感謝を申し上げます。先日、あるベテランママから、「水商売の顔になってきたわね!」と言われまして、「それって、どんな顔だろう??」と銀座ホステスの濃いメイクを思い浮かべて逡巡する一瞬はあったものの、誉め言葉として大いに嬉しいものでした。年齢も46歳となりまして、企業

          水曜アデイ4周年の機に

          二丁目文芸部、合評会を終えて

          合評会は大きな収穫!  2度目の緊急事態宣言が明けてまもない日曜日、二丁目文芸部の合評会が開かれました。昨秋に新宿二丁目のバー「A Day In The Life」の水曜(あっきーの営業)を軸に立ち上げたこの文芸サークルの活動。参加していただいた部員が集うイベントとしては初めてとなるこの日でしたが、予想していた以上に深いお話が飛び交う、とても充実した内容となりました。  合評会のテーマは、「私にとっての新宿二丁目」というエッセイ。事前に原稿用紙3枚という文字数で、部員にそ

          二丁目文芸部、合評会を終えて

          2021年正月の身辺雑記

           新年あけまして、おめでとうございます。  「一年の計は元旦にあり」という言葉には、うっすら呪縛のような思いを抱きます。今年の正月も何も決めることなく、だらだら時間を浪費してました。年末最後の水曜アデイの営業は、二丁目文芸部の部員をはじめ、常連の方から久しぶりの方の来店もあり、賑やかな夜になりました。昨年の濃いエキスを4時間に詰め込んだようで、結果的に一年まるごと満足できました。さて、2021年はどうやって過ごしましょうか? この年末年始をダイジェストで振り返ることで、占っ

          2021年正月の身辺雑記

          二丁目文芸部、合評会やるってよ!

          「新宿二丁目は、よく来るんですかぁ?」  これ、なんとなくの僕がよく口にしているようです。質問しながら、「みんな、国を越境して飲みに来てくれてるみたいだな」と思ったりしてます。日常には仕事などの昼間の生活があって、夜には新宿二丁目がある。この仕切りって、ちょっと特異なことだと思いませんか? 昼夜の時間的な仕切りだけじゃなく、二丁目は物理的にも、概念的にも仕切られています。だって、ここは大通りに挟まれたエリアだし、性におけるマジョリティとマイノリティが逆転しているし。そしてそ

          二丁目文芸部、合評会やるってよ!

          文芸サークル「二丁目文芸部」始動!

          「あの街は、しょせん、おもしろくてやがてかなしい僕たちのゲットー。 でもやっぱり僕はうんざりするほど好きだ。男たちがあいもかわらず惚れたはれたにうつつをぬかし、夜ごとのコップのなかの嵐を繰り広げてる二丁目が」 『新宿二丁目で君に逢ったら』西野浩司(宝島社 1993年)より  これは、今からざっと27年の昔に刊行された小説のエピローグに記されている言葉です。この作品は、現代の新宿二丁目を描いた小説で、いわば「日本のゲイ文学の嚆矢とされる」と伏見憲明氏も説いています。ゲイである

          文芸サークル「二丁目文芸部」始動!

          水曜日のルーティン

           女優が朝のルーティンの動画をアップしていたりするようで、どうやらYouTubeでは毎日の繰り返しの儀式がおこなわれる風習があることを知りました。他人の生活を定点観測することのどこが面白いのか、私はちょっと考えてしまうタイプであります。まあ芸能人のことですから、そのプライベートを垣間見て、「さすが金かかってんな~」とか、「ホントはいつもやってないでしょ!」なんて、羨んだり突っ込んだりすることは自由だと思います。ルーティンという言葉で浮かぶのが五郎丸のカンチョーからアップデート

          水曜日のルーティン

          あっきー★の源氏名に自我は宿るか?

           アデイの水曜日担当を任され、「あっきー」と呼ばれるようになり、三年経ちました。実はこの名前、まだ馴染めていないと思うことがあります。  アデイで「あっきーさん」と声がすれば、間違いなく僕を呼んでいます。しかし一瞬、「それって、僕のことでしたよね?」が、頭の片隅を通り過ぎます。「まだそこ?」と言われそうですけど、閉店後の余韻にぼけっと放心している時など、ここまで戻るのです。  三年前にアデイに入る時、伏見グランマは言いました。「源氏名、つけなきゃねー」と。ほう、源氏名です

          あっきー★の源氏名に自我は宿るか?

          二丁目のない世界を想像してみて

           例の2か月間、ほぼ電車に乗らない生活でした。これだけ長い期間、新宿に行かなかったことは、初めてかもしれません。都心の様子は、暇を持て余し観ていたテレビにて、目にしていました。画面には、人の姿が消えた新宿の駅前や歌舞伎町が映し出されていました。  「ここは、シンジュクの名で呼ばれる場所です〜」  どこか知らない都市を伝える、ナレーションの声を聞いているようでした。なんだか、別の次元に存在する場所みたい。それは、ワイドショーやSNSのディストピアな画像が、未知のものだったと

          二丁目のない世界を想像してみて