文芸サークル「二丁目文芸部」始動!
「あの街は、しょせん、おもしろくてやがてかなしい僕たちのゲットー。
でもやっぱり僕はうんざりするほど好きだ。男たちがあいもかわらず惚れたはれたにうつつをぬかし、夜ごとのコップのなかの嵐を繰り広げてる二丁目が」
『新宿二丁目で君に逢ったら』西野浩司(宝島社 1993年)より
これは、今からざっと27年の昔に刊行された小説のエピローグに記されている言葉です。この作品は、現代の新宿二丁目を描いた小説で、いわば「日本のゲイ文学の嚆矢とされる」と伏見憲明氏も説いています。ゲイである自分は何者かを問い、体当たり的に新宿二丁目で日々を過ごしながら成長する姿を描いた作品で、多くの読者の共感を呼びました。
西野浩司氏は当時、自己に抱えたさまざまな問題について、小説に書かなければいけないという強い衝動がありました。でなければ、こんな傑作が生まれるはずもないし、これほど作品に救われたという人も現れなかっただろうと思います。時は移って新宿二丁目も変わったけれど、果たしてここに集まる人間達の問題は、解決したのでしょうか? それは、セクシュアルマイノリティの問題だけではありません。「人と話したい」「誰かと繋がりたい」と思い、今日もバーの席に座る人達の問題です。西野氏が抱いたものと同様の衝動が、新宿二丁目にはまだまだ渦巻いているのではないでしょうか?
「新宿二丁目」をテーマに、面白いものを創りたい! これは、以前から伏見グランマと僕が話していたことです。僕はかつて出版社に勤務し、長く文芸などの編集をやっていましたから、「せっかくの二丁目という磁場を活かさないと、もったいない」と思ったりもしていました。いろいろと熟考を重ねまして、ここにアデイ発の文芸サークル「二丁目文芸部」を立ち上げたいと思います。小説に限らず、エッセイ、評論、コミック、イラスト、何でもOKです。楽しく創作する場を作れたらと考えております。
活動の仕組みは、シンプルです。部長のあっきー★(恐縮です)がアデイにいる水曜日を中心に、作品のやり取りをいたします。まずは、どんな作品を創りたいかを打ち合わせします。がんばって、でも楽しく作品を創り、水曜日のアデイに持ってきてもらいます。それを拝読した部長から、翌週以降の水曜アデイにてコメントをフィードバックします。必要でしたら、これらを繰り返して、作品が完成します。
部員の作品が集まったら、みんなで合評会を開きたいと思います。また、作品を集めた小冊子『二丁目文学』(仮)を作ります。電子版も配信して、より多くの人に読んでもらうことができればいいですね。また、定期的にイベントを開催します。プロの作家をお呼びしてのトークや、編集者による専門的なレクチャーなど、楽しく創作する環境を演出できればと考えています。
少しでも気になったら、お気軽にお問い合わせください。部員の登録は、直接、アデイに来てお伝えいただくか、難しい場合は、TwitterのDMでご連絡をいただいても構いません。
西野氏がかつて描いた「夜ごとのコップのなかの嵐」。さあ、あなたにはどのように見えますか?
A Day In The Life
東京都新宿区2-13-16 藤井ビル203
Twitter:@akkyluckybar
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