「淵」第243号が届きました。
今回も、「淵」第243号の一部を紹介してみたいと思います。
今回は、佐々木誠吾主幹の短歌を紹介してみます。
今回も、私の好きな一首選を紹介します。
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私の好きな一首選 大野雅子 選
〇 艶やかに思いを託し和歌を詠むその人柄の胸にとどめり
佐々木誠吾
〇 娘ら二人抱きて笑まふうつし絵の太宰の面に死の影あらず
澁谷富子
〇 旧友の夫婦同士で向き合いて積もる語らい時を忘れし
澁谷孝男
〇 七夕に星の数ほど結ばんと託す笹の葉「和」を願いつつ
木下容子
〇 不忍の池に咲きたる蓮の花青春の日々が目に浮かびたり
角田章予
〇 やまゆりの花を見たさに東御所甘き香りの風に包まる
大宮ふじ江
〇 澤潟屋 名前を賭けた心中は江戸の香りを令和に放つ
勝又隆
〇 姉妹だった昭和の日々がよみがえるピアノの連弾おつかいの道
丹波ともこ
〇 啄木が日夜拝せし姫神と南部片富士今に変わらず
伊達美智子
〇 長月の澄たる空の色に咲く朝露背負う露草の群れ
澤田毬子
〇 食卓に桜桃ありて愛らしく旬を楽しも甘酸っぱさも
大野雅子
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私の好きな一首選 澤田毬子 選
〇 戦いの犠牲となりぬ若者ら昔の日本の国体に似て
佐々木誠吾
〇 無駄花は咲かぬと言はるる紫の色艶の良き茄子の初採り
澁谷富子
〇 柚子の葉に産卵すませ揚羽蝶たたみし翅の安らけしこと
大野雅子
〇 班入りなる露草の花降れ降れと雨待ち望む空梅雨の空
澁谷孝男
〇 沸き出づる言葉を真夜に書きどどむ窓の満月この身を包む
木下容子
〇 摘み取りし蕾のポピー咲き始めわくわくウキウキ愛しき日々の
角田章予
〇 子スズメを追いつつ写メ撮る御所の中和名教えるイタリアの子に
大宮ふじ江
〇 江戸の世も歌舞伎役者の醜聞に現を抜かす我等が居たと
勝又隆
〇 姉というおもかげはなく横たわる「ああ、ともこね」の声のみが姉
丹波ともこ
〇 北上の流れ豊かに滔滔と岸辺の緑を吸い込みてゆく
伊達美智子
〇 新盆の迎え火焚けば門前に父さんですね「おい、こら、待て」は
澤田毬子
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今回もお読みいただきありがとうございました。