「追いつけないそくド」(詩)
あの重たかった震えが
頭をつかんでいた雲が
追いつけない速度を掴んだ
泥が跳ね 気づかれても
足型がはがれて叩き付けられても
かまわない速度を私は
厚塗りのパンのバターが
溶けて落ちるくらいの
ささやかな風が背を押す
ためらいに絞められていた首が
とまどいにつねられていた指の皮が
どうしようもない速度生み出した
走る 走る 走ってる
走る 走る 走り去って
今度は真後ろから私が迫ってやろう
縫い止めといてやろうとしたすべて
また
走って追い抜いてあげる
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