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幽霊の鉛

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2023年1月の記事一覧

一緒に死んでくれるやつを探してるあたり、多分まだ死にたくないのかな
痛みを恐れないところまではきた
迷惑をかけて死んでやりたい
でも一人じゃ寂しいな
みんなで一緒に死ぬのもいいけど
俺の死を見届けてくれるやつも欲しいな

おれがくたばってもいいのか
ねずみのみこんだ よる
きつねのかおがいぶくろのなかに のぞきこむ
あぁ そうか おれはしぬのかな
ゆびさきになまあたたかい きすをされる
ぺろりとしたなめずりして
ふたつめの きみょうなかたちした いきものが あたまをなでる
ああ しんでもいいかもな

手垢の付いた眼鏡

以前より散々病気の元はその辺に彷徨いてると我々皆が分かりきっていたはずだ
それなのに、どうしてここ数年で過剰になったか
日本独特の仲間意識
島国らしい素敵な短所
わかった上でその一員
有名な面の死
餅で喉を詰まらせたら恥ずかしいものね

以前は見えなかった菌が皆不思議と見えるようになって
息を殺して生きている
あー、でもそれってホント馬鹿ね
眼鏡を今更かけたって、それ、既にばっちいじゃんか
垢だら

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同窓

ありがとう友人たち
久しぶりに会えてよかった
色んな話が聞けて楽しかった
私の劣情はまだ話せないけど
食とか性とか昔のこととか
馬鹿みたいに笑えてよかった
私の劣情はまた膨らんだけど
ありがとう友人たち
またあってくれ
忘れたくないこの僻みと憂鬱
思い出させてくれ
私の劣情はもう話さないけど

馬鹿みたいな顔と作り笑いと頭で
北極に行ってシロクマを見るなンていうから
血塗れの顔見せてやったら船から

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香水瓶が開けられず
指の皮が向けたので
チョコレートと一緒に食べたの

キーホルダー

隠してる
大事なことだっけ
いンや、別にいつもの戸締りにいるだけだから
でも、開けっ放しは用心せにゃ

髪の枝毛を指で切る
束を掴んで弄って探す
切れた先だけ死んでいく
食べても大した味はしないけど
プツ、と噛み砕いて飲むだけ

首を振る
犬みたいにブルブルと
おかしな事があった
わけ、
肩こりが酷くて
少しの歯軋り

奇数で終わらす
偶数は確認分
これはゼッタイで
多分、死神がやってくるンだと思

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裏の着いた左足と右足を擦る
真ん中足にぶつかって、あれ

花霙 踏まぬように 匙掬い
霜口付けして 頬を冷やす

ヒステリック女が鳴らす指折りの音
痩せこけた白い手が耳障りな流行病となる

簡単な希死念慮
そんな口滑らせてるうちは楽勝だね
ズルズル背負ってさァ
あー、ホラ、駅のホームで香水が呼ンでる
バルコニーでオーケストラが聞こえる
そンで、突き落とされて
手首切られる夢を見る
階段の列に観客が座って見ている
俺の足を、引こうとしている
そこまできたら、乾杯しよう

アイツが広告にえらく出るようになりそうだ
最悪
とっくに向こうは忘れてるだろうが俺はまだ憎い
一方的な憎悪だけど
アナタ まるで聖人君子みたいな面と物言いするンだから
俺の本性で話してみようじゃねぇか
それとも それでも
アンタ 笑うンだろうな 凄いねって
だから腹立つンだよ

物言う花が咲いている
モモノハナ
羽衣盗んだら灰にして呑んでやる
揺蕩う首筋 三日月印
その茎 折ったら終いだ
お嬢サマ、拝借させて頂きます

沁 雪降る泥の飢え
沁 陽降る花の思た

脳 舌 小指
煎じて飲むだけじゃア……
熟れたらなンとか心配不要
賞味は万事 口付けも微笑む

綺麗ばかり馬鹿にしないで
偶には向き合ってみたらどうって
そういう眼差しが嫌いだな僕は

妙な廃れ具合
みたいな チックタック