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犬柴さまと春日井建

20代半ばで短歌を始めた頃、最初にいそいそと作っていたのは相聞歌でした。つまり、恋歌ですね。みんなそうだよね? え、違う? 失恋がきっかけで短歌を始めたという人は短歌仲間でも多かった。かくいう私もそう。

これってねえ・・・うまくいってる時より、うまくいかない時、別れた時の方が、いい歌ができるんですよね、皮肉なことに(笑)。

で、それだけじゃ飽き足らなくなって、次には幻想歌・御耽美歌に移行します。中学の時、聖闘士星矢などの同人誌やってた友人がいまして、その・・・御耽美にどっぷりはまってた時期があったんですね(照)。で、御耽美歌のテキストとして読んでいたうちのお一人が、春日井建。

ええ、ヘタクソな、春日井建風の歌を、たくさん詠みましたよ。星、風、血、肉体・・・とかの言葉をこれでもかっ! って散りばめてさー。春日井氏の、貴族的な佇まいもツボってました。その当時、NHK短歌の選者をされていたので、せっせと歌を送ったり。どれか一首でも載せたいけれど、mixiの記事も消しちゃったので、幸い、いっこも残っていない(笑)。

犬柴さまの詩人の処刑。記事、最初の一首を読んだとき、反射的におぉっ春日井建だあ~! と、思って、嬉しくなりました。圧倒的な、耽美と倒錯の世界。春日井建へのオマージュ、と言ってよろしいでしょうか?

言葉の選び方、置き方がドンピシャで、私とはダンチ(当たり前っ)。あの頃の自分が漬かってた世界にぐーっと引き戻された感覚になりました。そして犬柴さまの解説を読むとやはりそうで、犬柴さまの美と幻想の詰まった短歌・俳句・散文の作品群は、春日井建ともつながっていたのね! と大いに納得いたしました。

それにしても詩人の処刑、この記事のコメ欄、犬柴さま御本人含め、皆さま博学で凄っ・・・となります。このタイトルもツボりますッ。


犬柴さまは映画がお好きで、映画紹介の記事をたくさん書かれています。映画のチョイスも映画好きさんならではの作品ばかり(と、思えます)。体言止めを上手に使われていて、そのせいかリズミカルでスピード感あって、言葉がお洒落で、まさにたのしい、映画紹介の語り口。

(映画解説者といえば私世代では淀川長治さんですねえ~さよなら・さよなら・さよなら)

そう、映画お好きなのもあってか、犬柴さまの記事は、言葉遣いや画像がどれもお洒落で、毎回うっとりいたします。


関係ない話で恐縮なのですが、渡部建さん。あの事件(笑)の前から、私は相方の児島さんの方がずっと男前で好きって思ってたんですけど、法律相談所の最後で映画を紹介する彼の語り口調はさすがで、なるほど、見たい!って気に毎回させてくれました。だから、渡部さんのあのコーナーが無くなったのは個人的に寂しいですね。