毒の柿 #エッセイ、及び時代劇のこと
毒の柿
昭和ドラマ銭形平次のとある回。商家の主が殺された。柿に塗られた毒で。若い女中が疑われるが、証拠がない。包丁で柿を二つに切り、片方を更に二つに切り、皿に盛り、主が食すまでを人に見られているのだ。しかも、最初の片方は他人が食べて無事である。女中はいつ、主の柿だけに毒を塗ったのか。これまでその智慧で数々の悪党を挙げてきた。ここで逃しては銭形平次の名が折れる。煩悶する平次はドラマの終わりかけに閃く。人目のない所で包丁の片面に毒を塗っておき、柿を皆の前で切る。毒の付いた方だけ