雑感105:遠野物語
約1年前に『始まりの木』を読みました。
作中に『遠野物語』が出てきます。物語の鍵を握るほどではなかったと思います。
『始まりの木』に魅せられて、作中に出てきた『遠野物語』を釣られて買った訳です。あれからもう1年も経っているのか、と個人的に驚いたことも、ここに残しておきます。
さて、私の買った岩波文庫版は『山の人生』も収録されていたのですが、まず『遠野物語』を通読した時点で力尽きました。『山の人生』は読んでいません。ここに潔く告白します。
文学の才能がないので、あまり興味のない古文を延々と読まされる中学時代の授業も頭を過ぎり、苦痛に感じる場面も多々ありました。
冒頭の引用を丸ごと再掲します。
簡古であることは間違いない(「簡古」という言葉をこの歳で初めて使いました)。
文章に気品もあろう。学問的出発点であり、記念碑的労作、これも間違いない。本当にそのように想う。
「記念碑的労作」という言葉が非常にしっくりきます。
常民の習慣・俗信・伝説が全部で119話続くのですが、伝承をひたらす聞いて、文章にするこの根気強さは凄い。河童、狐、座敷童、機織淵(はたおりぶち)、オシラサマ、コンセサマなどの神々・・・。
日本の歴史に出てくる偉人って、その時代では相当変わった人なのではないでしょうか。時代を変えるような人。一概には言えませんが。
そう思うと、学生時代に勉強した日本史、近現代史は変わり者たちが日本を変えた歴史。
むしろ、私たち一億総中流階級の源流やルーツを探ろうとすると、こういった柳田国男先生の作品に出てくる常民・平民の俗信のようなものがよっぽど大切というか、私のDNAの多くを占めているのではないかと、そんなことを思います。
この本はオススメか?
内容そのものは純粋な逸話、伝承などを記した説話集であり、オチもなく教訓がある訳でもない。タイパを重視する人には向かないでしょう。
言ってしまえば、日本昔話。日本の民俗学の先駆け。二度三度読むと、味が深まる気がします。
いつか『山の人生』に挑戦する日は来るだろうか。
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