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【読書】阿部智里/烏の緑羽(みどりは)
購入してからしばらく経ってしまいましたが、ようやく落ち着いて読む時間ができたので読み始めたらあっという間、いつも通り烏の世界に舞い戻ることができました。
前作で真の金烏がなぜいなくなったのか、凪彦とは誰なのか、ようやくわかりましたが、今作ではその前日譚とでもいうようなところを、金烏の兄である長束彦、彼のそば仕え路近(ろこん)、清賢、翠寛といったメンツの過去を交えながら語ります。
読む前に読むか、読んでから読むか
毎度のことながら驚かされるのは組み立ての緻密さです。過去の作品につながることがここで明らかにされるのか、とか、あれはそういうことだったのかー、というようなことがワンサカ出てきます。
読後改めて全部を読み返したくなりますし、短編を含めて全作品の登場人物、時系列で何がどうなっているのかを解き明かしたくなってきました。もしかするとネットにはそういうことを書いている人がいるかもしれませんが、人に頼っては面白くないので、第1作からそういうのに取り掛かってみても面白いかな〜。もしそういうのを描き始めたらここで発表してみようと思います。
どんな話?
本作ではこれまで金烏とコンビを組んでいた雪哉が悪者のように描かれています。もともと山内を収めるためにはどんなことでも買って出る、あえてそういう役どころを背負っていたことは知っていましたが、今作を読むと立場の違いがわかり、彼の悲しみもかなりのものだと思われます。
タイトルが指すのは何のことなのか、是非読んでほしいのですが、私なりに感じた今作のポイントは路近です。
恐ろしく頭が良くて、恐ろしく強くて、感情が読めない男としてこれまでも何度か登場してきていましたが、彼の心を読み解くのが本作の大きな中心となります。
そこでの会話、行動、説明は恐ろしくロジカルでわかりやすく、ちょっと小説から外れるかもしれませんが、私には今時のお仕事関係で感じる何かおかしなところと相通じます。
まだそのもどかしい感じが言葉にしてうまく伝えることはできないのですが、彼のいうこともよくわかるし、それに対して清賢や翠寛のいうこともすごく尤もです。何か心理学の勉強でもしているかのような気持ちになりました。深かったです。
もう次が読みたくなる
まるで映画ではないですが、最近のMARVELのように、終わりかたがいいんです。ということで読後すぐに続きが気になりますが、まずは落ち着いて過去の作品を読んで整理しておいた方が良いでしょう。
そもそも第1作で金烏のお妃選びというきらびやかな世界から始まったこの世界、そこに立ち返って読むべし、です。
おすすめ度:★★★★★(言うことなし!)
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