ロゴスと巻貝-ミツバチのエッセイは蜜のように甘かった-|小津夜景
「え?」
小津夜景さんのブログを読んでいて、あわてて本棚にむかった。
ブログの文末に引用されていたX(旧Twitter)に、『ロゴスと巻貝』の緒言に『花と夜盗』のフレーズが、とあったのだ。
すぐさま『花と夜盗』をパラパラめくる。
本当だ。
「光の帆」の句も、「架空の島」の句もある……!
「なしのつぶて」の語源ばかり注目して、なにも気づいていなかった。
まてよ、「なしのつぶて」の句もあるぞ。
さすがにそこまでは考えすぎ?季語?
いや、正直に、句集の読み込みがまだまだ甘かった。
だって、だとしたら、「光の帆」の句のとなりのこれはー。
『いつかたこぶねになる日』がよぎる。
ひぃぃぃぃ。
こんなふうに忍ばせて、種明かしもしてなくて、回りまわって今たまたま偶然知るという。
ずっと知らないままの世界線があったかもと思うと、もったいないおばけが出そうで震える。
これがたとえば森博嗣作品だったなら。
はじめからそういうつもりで読むから、少しでもあやしい描写があれば、やや?もしやこれは◯◯シリーズのあの人のことでは?などと過去作を漁るのだが、小津夜景作品をそんな邪な目でみていない。
そもそも、俳句を詠む人の作品に伏線があるかもなんて思いもよらない。
メロディラインではなく周辺へ、とはにかむ姿が浮かぶ。
種は仕込んだけれどたとえ気づかれなくてもいいの、と言わんばかりの美学を3冊まとめてくらってしまった。
ああ、もう、これだから……、好き。
noteで感想文を書くことにしたきっかけのひとつに、『小津夜景』さんを世に知ってほしい草の根運動の意味合いがある。
微力ながらもっと知ってもらって、もっと本を出してもらって、そして、考察してくれる人がでてきてほしいという壮大な狙いがある。
忍ばせてある種をどうか私に教えてください。
だからもうこの一連の衝撃は、待ちに待った私の願望!
やった!
幸せ!
もっとほしい!