除草作業【4期目】
田植えをしてから一月経ちました。今年は梅雨入りがかなり遅かったので、日に照らされながら除草作業をする日々を過ごしていました。田植え時期にもよりますが、だいたい一月で雑草種子の発芽が終わるそうなので、ようやく除草作業も終了となり、しばらくはゆっくり過ごせそうです。
今年はいつもとは違った除草方法も取り入れてみましたが、一長一短あるなと思ったことを記録していこうと思います。
米糠除草
米糠とはいわずもがな、玄米を白米に精米したときに残った部分のことです。これを田んぼ表層に撒くと、田んぼの微生物が急増します。その際に水中の酸素が多量に消費されて田んぼ表面は嫌気的な状況になります。この状況によってヒエなどの嫌気的状況を好まない雑草の発芽が抑制されます。また微生物の活動によって生産される有機酸の働きによって芽生えた雑草種子の成長も抑制することができるようです。またこの活動によってさらに土の表面がトロトロになり雑草種子が埋没しやすい状況をつくりだす、というような雑草を抑える効果がいくつも期待できるそうです。ただその効果は雑草種によって異なり、嫌気的環境を好むコナギなどには効果は薄いようです。
今年はとりあえず効果が得られるとされている下限の100kg/10a撒いてみました。
結果ですが、有機転換中で今年で2年目の圃場に関しては、体感昨年よりもヒエの発生は減ったように感じました(そもそも無農薬栽培を続けていけばヒエは減っていくので、(ちゃんと比較しなかったので)効果の是非を問うのは難しいです)。また弊社のメイン雑草種のコナギやホタルイに関しては特に抑制された印象はなかったです。どうやら有機稲作研究所の調査によると、ただ米糠除草単独での効果は薄いので、いくつかの手法を組み合わせると効果を実感できるようです。抑草への道はそう簡単ではなさそうです。
また弊社にとって1番のデメリットが水中の酸素濃度が低下してしまうことで、それにより鰓呼吸主体のオタマジャクシ等の結構な数を死なせてしまいました。米糠除草に関する文献にはこのデメリットについて触れているものは見当たらなく、ここまで影響が出てしまったことは正直予想外でした。ただ弊社は田植え前の1ヶ月圃場に入水しているので、既に圃場が嫌気的環境に近かった可能性や、何か間違ったやり方をしていた可能性もあるので、一概に米糠除草のせいだとは言えません。ただ今回の件で思ったのは、『有機栽培=人への安全・安心』なのかもしれませんが、『有機栽培=生態系への配慮』が必ずしも成立しないということがあるのだなぁ、ということです。今回の場合、もしかしたら除草剤を撒いていた方が生態系には優しかった可能性もあるかもです。わかりませんが。
アイガモロボ
今回岡崎市と協力し、井関農機株式会社のアイガモロボの実地試験を弊社圃場でおこないました。アイガモロボは表層を撹拌しながら進んでいくので、芽生えたての雑草種子を浮かせたり水を濁らせて遮光させることで雑草の生育を抑制したりします。この子のスゴいところは太陽光で発電して動いてくれること、お掃除ロボットのように効率よく圃場を廻ってくれるようになるところです。つまりは一度も圃場に入らなくていいので楽ちんです。
ただデメリットもありまして、ひとつは深めの水深が必要なこと、もう一つは生育が阻害されてしまうことです。写真は田植えから一月稼働させた様子です。しばらくすると差が気にならなくなるかもしれませんが、もしかすると分げつしやすい品種の方が向いているかもしれません。弊社が育てている品種『夢山水』は分げつしづらいものなので、果たして今後どれだけ遅れを取り戻せるか、乞うご期待。
おまけ
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