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明石わかな | 本
2022年9月23日 15:28
この話は、家族も仕事も失った五十代の男性と、たまたま乗り合わせたタクシー運転手と話す中で生まれた、理系の要素と情緒的な感傷を織り込んだストーリーです。この本は短編集なのですが、本のタイトルにもなっている『月まで三キロ』という話について、ネタバレ含みつつ考えたいと思います。この話は、五十代の男性が、自分の半生を振り返り暗い気持ちのまま自殺を考え、自殺の名所といわれる富士山麓に出ようとタクシー
2022年9月15日 17:58
この小説は、青年の傷みやすい心を鮮やかな色彩とともに描いた作品です。この本について、ネタバレしつつ感想を書いてみたいと思います。著者の梶井は、1900年代初期に作品を発表した、関西を中心に活動した作家です。現在この作品は高校の教科書などにも載っているらしく、読んだことがある人も多いかもしれません。この話は、青年である主人公が、理由も不明な焦燥感に駆られ、立ち寄った本屋で積まれた本の上に
2022年9月9日 14:07
この本は、芸術家志望の資産家の行く末を描いた短編小説です。資産や資産家に対する、太宰治の考えが分かる作品だと思います。ネタバレ含みつつ考えてみたいと思います。導入として、太宰が昔読んだ小説の内容が書かれます。ある剣術が得意な殿様が、家来たちと試合をして片っ端から打ち破っていました。あるとき殿様が庭園を散歩していたところ、変なささやきが庭の暗闇の奥から聞こえたそうです。「殿様もこのごろ