聴覚障害を持つ子どもが声出し会話をする、『金沢方式』。導入から50年、見えて来た課題とは?
こんにちは、翼祈(たすき)です。
毎年、9月23日は「手話言語の国際デー」です。手話を使っている人には身近な国際デーではないでしょうか?
聴覚障害を抱えている人は、手話を使うというイメージが一般的かもしれませんが、実はそれ以外にも会話をするツールがありました。
それは、『金沢方式』です。
聴覚障害児に正確な読み書きを教え、言葉で会話するコミュニケーションを促進させる療育法『金沢方式』の指導が、石川県内でおよそ50年続けられています。今までに130人以上の子ども達が『金沢方式』を学習し、社会へと羽ばたいています。
今回は『金沢方式』の内容と、見えて来た課題について考えていきたいと思います。
『金沢方式』の誕生秘話。課題とは?
『金沢方式』の誕生は1970年頃に、「聴覚に障害を抱えている人たちが十分に潜在能力を発揮できない原因は言語力にあると思う」と考えた金沢大学付属病院の故・鈴木重忠博士が発案しました。
『金沢方式』の指導では、聴覚な障害を抱えている子ども達の家族がジェスチャーと色んな単語を記したカードを使用して、日々の暮らしの中で語彙を増やしていきます。言語聴覚士からの個別指導や週に1回の集団訓練で、基本的な文法や発音以外にも、聴覚に障害を抱えている子ども達にとって1番困難とされる助詞・助動詞の使い方などを学習します。
補聴器を介して聞こえる音、言葉、文字の意味を結び付けることで、健聴者と同じレベルの言語能力を獲得可能だとします。就学前までには、ほとんどの聴覚に障害を抱えている子ども達がジェスチャーをほとんど使わなくても、言葉で話す会話ができます。
参考:聴覚障害児が声出し会話、「金沢方式」指導50年…カードとジェスチャーで語彙強化 読売新聞(2023年)
『金沢方式』を教授するNPO法人「難聴と共に歩む親子の会金沢方式研究会」の宮下吉広会長は「周囲の人たちとスムーズにコミュニケーションが取れれば、健聴者と同様に多くの選択肢から将来の選択も可能になります」と語ります。
その反面、『金沢方式』指導を実施する福井医療大学の能登谷晶子客員教授は「会話ができるからといって、話が聞こえているわけではないことに注意が必要となります」とも懸念します。
「聴覚に障害を抱えている人と会話する時は、必要に応じて筆談や文字起こしのアプリなど、会話しやすいコミュニケーションの方法を質問すると良いでしょう」と説明しました。
参考サイト
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